著者
市川 理恵
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.1062-1082, 2013-06-20 (Released:2017-12-01)

The Shosoin-Monjo (正倉院文書) collection of documents from the Hoki 宝亀 era (AD770-780) includes about 100 petitions by sutra-copiers requesting monthly loans (gesshaku-sen 月借銭) from the Sutra-Copying Bureau of Todaiji Temple. The loans were borrowed at high rates of interest with their salaries (fuse 布施), dwellings and allocations of rice paddy (kubunden 口分田) as security, and occasionally requiring cosignatories. Although the sutra-copiers who incurred such debt were regarded as low-ranking government officials and thus were bona-fide members of ancient Japan's ruling class, they were segregated from aristocrats of the fifth rank and above in terms of rights and privileges and were shut off from promotion above the sixth rank despite long years of service to the government, suggesting to researchers that low ranking bureaucrats composed an exploited sector of the ruling class, whose members were, as shown by the gesshaku-sen documents, living hand to mouth under conditions resembling debt slavery. In this article, the author reexamines whether or not these low ranking bureaucrats were really as poverty-stricken as thought, by trying to better understand the meaning of the Hoki era Issaikyo sutra-copying project and its political ramifications. The author then turns to an investigation of the Sutra-Copying Bureau's gesshaku-sen loan operations and the personal economic activities of its sutra-copiers, in order to clarify the bureau/money lender's relationship to its employee/borrowers and ultimately what importance gesshaku-sen had for low ranking bureaucrats in ancient Japan.
著者
福原 淳示 住友 直方 谷口 和夫 市川 理恵 松村 昌治 阿部 修 宮下 理夫 金丸 浩 唐澤 賢祐 鮎沢 衛 麦島 秀雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement4, pp.28-33, 2008-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
10

15歳,女性.3歳時にWPW症候群と診断され,6歳時より動悸を自覚,7歳時に当院でカテーテルブレーション(RF)を行い,顕性の右室後中隔ア副伝導路(RPSAP)を介するorthodromic房室回帰性頻拍(AVRT)で,RFに成功した.13歳時に再度動悸を訴えた.心臓電気生理学的検査(EPS)ではISP1μg/分投与下の右室高頻度刺激で頻拍が誘発された.頻拍は減衰伝導を有するRPSAPを順伝導するantidromic AVRTであり,頻拍中の心室最早期興奮部位への通電でRPSAPの途絶に成功した.通電直後一過性に2:1房室ブロックを認めたが1:1伝導に回復したため,1分間の通電を加えRFを終了したが,その後II度房室ブロックが再出現した.約3カ月後に房室ブロックは自然に消失した.Antidromic AVRTを起こした機序として副伝導路に対する通電により,副伝導路もしくはその周辺組織に減衰伝導特性を与えた可能性が示唆された.房室ブロックを起こした機序としては,後中隔部位への通電がcompact AV nodeに影響を与えたことが考えられた.同部位へのRF時には,His束との距離のみならず,わずかな心電図変化にも細心の注意が必要と思われる.
著者
田中 理恵 (市川 理恵)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、正倉院文書を用いて「石山寺造営事業・二部大般若経写経事業・宝亀年間の一切経写経事業」の財政を解明することで、古代国家の銭貨政策の内容・意図を追究することを目的とした。本年度は、1石山寺造営事業と宝亀年間の一切経写経事業の財政構造をあきらかにし、論文にまとめ、さらに2古代国家の銭貨政策の内容と意図をあきらかにした。まず(1)正倉院文書による価格調査を行い、先行研究が指摘する宝亀元年の物価高騰が存在しなかったこと、天平宝字末年の物価上昇は二段階あり、第一段階は天平宝字六年の米価高騰、第二段階は天平宝字八年の全品目の物価高騰であったことを発見した。さらに(2)新銭の流通状況を調査し、特に天平宝字四年(七六〇)に発行された万年通宝は、和同開珠を基準とする価値体系のなかにその十倍の価値を持つ万年通宝が投入されたことを確認した。すなわち藤原仲麻呂が推進する事業を掌る中央官司に、新銭を下賜するという方法で、財政的に支援していたことをあきらかにした。これに対し、宝亀年間の一切経写経事業の帳簿を検討した結果、天平神護元年(七六五)の神功開宝発行時は、和同開琳と万年通宝の価値をそれぞれ十分の一にしたうえで、万年通宝と同価値の神功開宝を発行していたことを発見した。これまで古代国家は、下落した銭貨価値を取り戻すために次々と旧銭の十倍の価値をつけて新銭を発行してきたと考えられてきた。しかし神功開宝は、天平宝字八年以来の物価高騰を収束させるために発行されたと考える。今後、論文「奈良時代の銭貨政策-万年通宝・神功開宝を中心に-」としてまとめる予定である。
著者
阿部 百合子 住友 直方 大熊 洋美 福原 淳示 市川 理恵 平井 麻衣子 中村 隆広 松村 昌治 金丸 浩 七野 浩之 鮎沢 衛 陳 基明 麦島 秀雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_64-S2_68, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
8

背景:抗真菌薬には種々の副作用が報告されている.抗真菌薬使用後QT延長に基づくtorsade de pointes(TdP),無脈性心室頻拍(VT),心室細動(VF)に対し静注用アミオダロンの効果が認められた小児例を報告する.症例:15歳,男児.再発急性リンパ性白血病(ALL)の化学療法後の骨髄抑制期間に深在性真菌感染をきたし,抗真菌薬であるアムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)を投与した.L-AMBの副作用と考えられる低カリウム血症を認め,補正を行ったが低カリウム血症が続いた.その後,真菌感染の増悪を認めたため,アゾール系抗真菌薬であるボリコナゾール(VRCZ)の追加投与を行った.VRCZ投与6日後から副作用と考えられるQT延長を認め,7日後からTdP,無脈性VT,VFをきたした.抗真菌薬の副作用と診断し,薬剤を変更して,さらなる低カリウムの補正を行い,メキシレチン,プロプラノロール,ニフェカラント,リドカインを投与したがVT,VFのコントロールは非常に困難であった.その後,アミオダロン1.6mg/kgの単回静注したところ,TdP,VTは停止し,アミオダロンの持続静注を開始したところVT,VFはコントロールされた.VT,VFは消失したが,抗真菌薬の変更を余儀なくされ,真菌感染の増悪を招き死亡した.結語:低カリウム血症を認めた場合に,ボリコナゾール(VRCZ)などQT延長を認める可能性のある薬剤の使用には注意が必要である.このような場合,アミオダロンの使用には注意が必要であるが,一部の症例では有効と考えられた.
著者
市川 理恵
出版者
吉川弘文館
雑誌
正倉院文書研究 (ISSN:13437291)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-22, 2017-11