著者
松宮 護郎 松田 暉 澤 芳樹 福嶌 教偉 西村 元延 市川 肇 舩津 俊宏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

重症心不全でLVAD装着術後に自己心機能が改善し左室補助循環装置(LVAS)離脱が可能となる症例、いわゆる"Bridge to Recovery"が報告されているが、その心機能を改善させるための手段として細胞移植が応用できないかを検討することを目的として本研究を開始した。1.拡張型心筋症ハムスターに対する筋芽細胞シート移植拡張型心筋症ハムスターの27週齢時に、筋芽細胞シートを2層化して移植し、経時的に心機能を測定し、心筋構造蛋白の免疫染色を行った。筋芽細胞シートを移植した群は、従来の針による細胞移植法と比較して、有意な心機能向上効果を認め、左室壁の肥厚化を認めた。また、dystrroglycan, a, d-sarcoglycanの濃染性を認めた。また、筋芽細胞シート移植群は他群と比較して、生命予後は延長した。2.拡張型心筋症モデル犬に対する筋芽細胞シート移植ビーグル成犬に心室ペーシングを続け、拡張型心筋症モデルを作成した。ペーシング開始後4週後に自己筋芽細胞シートを心表面に移植し心機能の経時的変化を測定し、非移植群と比較した。シート移植群は有意に駆出率の増加、および内腔の縮小、壁厚の増大を認めた。また、組織学的検討では移植群において有意な心筋線維化抑制、apoptosis抑制効果を認めた。3.虚血性心筋症モデルブタに対する筋芽細胞シート移植ミニブタの冠状動脈左前下行枝をアメロイドリングを用いて結紮し、虚血性心筋症モデルを作成した。骨格筋筋芽細胞シートを移植し、心機能を評価した。シート移植群において他群に比して有意に良好な左室収縮能、壁厚の増大、内腔の縮小を認めた。またFDG-PETにて心筋の糖代謝能改善が認められた。これらのメカニズムを検証するにあたり、電子顕微鏡、免疫染色、RT-PCR法、FDG-PET法、MEDシステム等を駆使し、構造、因子、遺伝子、代謝、電位活性等の多方面からの検討を行った。
著者
市川 肇
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.191-196, 2017

<p>成人のLVAD(左室補助人工心臓)療法は心不全の非薬物療法,Bridge to transplantationとして確立した治療法となり,米国ではすでに一万例以上,本邦でも2010年9月のJMACS(Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)設立以来その登録数は700例を超している.世界的にはBerlin Heart社製のEXCORが小児の重症心不全患者1,800例以上に対し使用されており,それまでの最終治療であったECMOに比し有意に良好な成績を上げている.本邦でも医師主導治験を経て2015年8月より本邦でも保険償還されたが,極端な小児心臓移植ドナー不足という背景から米国のように普及したとは言いがたい.このような現状から小児でも長期間の待機を安全に自宅で行える小児用埋め込み型が左室補助人工心臓の開発が待ち望まれている.</p>