- 著者
-
越後 多嘉志
竹中 哲夫
市村 真
- 出版者
- Japanese Society for Food Science and Technology
- 雑誌
- 日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.5, pp.223-227, 1974-05-15 (Released:2010-01-20)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
1
蜂蜜の品質に関する一連研究として,蜂蜜中の酵素の安定性を調べた。(1) 酵素液中にはアミラーゼ,グルコースオキシダーゼ,α-グルコシダーゼが存在し,ゲルろ過法によってそれらの活性区分を明らかにした。(2) 酵素液中の上記各酵素の作用最適条件を第1表に示した。またpH安定性試験から蜂蜜のpH(約3.8)附近ではどの酵素も不安定であった。(3) 酵素液あるいは蜂蜜中でのアミラーゼは,加熱に対して比較的安定であり,グルコースオキシダーゼは最も不安定であった。酵素液を冷温(3℃)貯蔵すると活性低下をほとんど認めないが,室温(20℃)貯蔵では低下を認め,この場合アミラーゼの低下度合が少なく,グルコースオキシダーゼが最も大きかった。(4) 密封したガラス瓶に蜂蜜を7か月間室温(20~28℃)貯蔵した結果,酵素活性の損失度合はアミラーゼが最も少なく,α-グルコシダーゼとグルコースオキシダーゼはともにアミラーゼよりも2倍ぐらい多かつた。