著者
広渡 清吾
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.63, pp.15-34,262, 2005-09-30 (Released:2011-04-13)
参考文献数
34

Judicial decision is not only an application of law but contains law making by the judge. It is well-known since the american legal realism and the german free law movement found out it.When we recognize it as a fact and furthermore use law making by the judge as an instrument for law making in order to settle the new coming problems in society, we should analyze the process of law making by the judge and try to adjust it to the principle of the separation of power between judicatory and legislative. Because law making should not be the task of the judge but belong to power of legislative.In this paper we discuss the problem how we can control law making by the judge in order to prevent an arbitrary judgement and the methodology on judicial decision that controls the process of law making by the judge. In japanese and german context law making against statutory law can be permitted exceptionally. According to the methodology law making against statutory law (houritsu. Gesetz) must be made within the higher law order (ho. Recht). What is the higher law order? Sociology of law should research into this problem in collaboration with methodological jurisprudence.
著者
広渡 清吾
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、グローバル化の下で、先進諸国にとって共通の課題となっている国際移住(international migration)について、それに対する政策と法制度の対応をドイツと日本を対比しながら検討し、今後の日本の政策的課題を明らかにすることを目的とした。現代の国際移住は、(1)労働移住、'(2)家族の後追い移住、(3)難民の3つに大別される。移住は、一時的なものと継続的なものの両者を含むが、継続的なものに関して、受け入れ国の政策的、法制度的対応がとくに必要になっている。移住に関わる政策においては、受け入れ国の対応体制を求める移住者の側の視点と、他方で労働市場政策および人口政策を勘案する受け入れ国の側の視点2つが絡み合っている。ドイツについては、2004年に成立した移住法(Einwanderungsgesetz)の分析を行った。同法の目的および法システムの編成は、国際移住の基本カテゴリーへの対応、移住者側の視点および受け入れ国側の視点の両者の顧慮、なちびに定住化する移住者の社会的統合措置へのシステム整備などにおいて、国際移住に関する法制度を論じるための準拠モデルとみなせるものとなっている。ドイツの立法動向は、EUの政策動向と結びつけて論じる必要のあることが研究の過程でいよいよ明確になってきたので、国際移住に関するEUの政策と法制度についても検討した。日本政府は、この10年間、もっぱらその関心を国内の景気回復、行財政の効率化に向けて外国人労働者問題を重要な政策的課題としてとりあげることがなかった。それゆえ、ドイツやEUの政策的制度的議論に比すべき展開がみられない。このなかで日本経団連の外国人労働者の受け入れに関する政策提言が注目すべきものである。また、アジア諸国との経済連携協定の締結は、労働移住・国際的人的交流のネットワークの形成の展望と関連づけて議論されており、今後の重要な検討材料である。移民政策は社会の少子化との関連で日本、ドイツまたEUでも論じられている。移民政策が少子化をくいとめることができるかどうかは、今後の一層の検討を要する課題である。
著者
佐藤 岩夫 広渡 清吾 小谷 眞男 高橋 裕 波多野 敏 浜井 浩一 林 真貴子 三阪 佳弘 三成 賢次
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、法社会学・法史学・犯罪学専攻の研究者の学際的・総合的な共同研究を通じて、19世紀から現代に至るヨーロッパ各国の司法統計(裁判所組織統計・訴訟統計・犯罪統計等)の歴史的・内容的変遷を詳細に明らかにするものである。研究成果として、ヨーロッパの司法統計の歴史的発展および内容を包括的に明らかにした研究書としては日本で最初のものとなる『ヨーロッパの司法統計I:フランス・イギリス』および『ヨーロッパの司法統計II:ドイツ・イタリア・日本』を刊行した。