著者
小林 真貴子 石井 裕泰 藤原 斉郁 笠間 清伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00246, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
16

セメント改良地盤の品質は地盤の不均質性や固化材の混合性などの影響を受けるため,適切な品質管理が求められる.一軸圧縮試験による現行の品質管理が,サンプリングされた供試体による標本調査に基づく強度把握であるのに対し,一軸圧縮試験では把握できない弱部の有無や連続的な強度分布を確認できる方法として針貫入試験がある.本研究では,針貫入抵抗値から一軸圧縮強さを推定する式に論理性を加えて,針貫入試験による強度推定精度の向上を目指している.本論文では,まず机上型装置での多点測定に基づく新たな推定の考え方を提案し,次にその検証のために,供試体作製法や強度の範囲が異なる種々のセメント改良土を対象に測定を行った.最後にその結果を用いて,具体的な推定式を提示し,提案推定方法の妥当性や推定精度の向上を確認した.
著者
佐藤 岩夫 広渡 清吾 小谷 眞男 高橋 裕 波多野 敏 浜井 浩一 林 真貴子 三阪 佳弘 三成 賢次
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、法社会学・法史学・犯罪学専攻の研究者の学際的・総合的な共同研究を通じて、19世紀から現代に至るヨーロッパ各国の司法統計(裁判所組織統計・訴訟統計・犯罪統計等)の歴史的・内容的変遷を詳細に明らかにするものである。研究成果として、ヨーロッパの司法統計の歴史的発展および内容を包括的に明らかにした研究書としては日本で最初のものとなる『ヨーロッパの司法統計I:フランス・イギリス』および『ヨーロッパの司法統計II:ドイツ・イタリア・日本』を刊行した。
著者
林 真貴子
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、1930年代初頭の農山漁村経済更生運動下でおこなわれた、農村で組合を形成して負債を整理するという問題解決の方法およびその法過程について検討することである。具体的には、1933(昭和8)年に制定された農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)の施行過程において、組合形成の母体となった農業集落としての「むら」が負債整理の法過程において果たした役割と「組合」を用いた問題解決の方法、さらに同時期に実施された金銭債務臨時調停法(昭和7年法律第26号)との関係を調査・分析した。本年度は、国立国会図書館、法務図書館、国立公文書館および県立市立公文書館等における資料収集を継続した。収集した資料は、おもに各道府県における負債整理組合法の施行細則、実施手引書等、農村(都市)生活改善運動の啓蒙文書、京都地方裁判所や神戸地方裁判所における各種調停法施行時の統計、同法の実態調査等に関するものである。農村負債整理組合法は無限責任の負債整理組合を隣保共助の精神に則り、生活共同体の単位で設立し、債権者も債務者もまたいずれでもない人もすべてが組合員となって、負債の整理を目指すところに特徴がある。組合は、組合員の負債整理計画を検討し、償還方法その他条件の緩和に関する協定を斡旋し、組合員(債務者)に対する負債整理資金の貸付を行なう。この新たな貸付に対して組合員は無限責任を負うことになる。政府は、昭和恐慌期の負債については、「善良なる債務者の更生」のために、農村では生活共同体単位で無限責任を負わせて(条文上は有限責任組合の設置も認めているが)、負債整理を断行するとともに、都市部の小額(訴額千円以下)の紛争については、裁判所が関与した調停手続によって債務者保護に資する解決を図った。農山漁村経済更生運動から続く農村資金計画は、土地、資本、労力の分配の適正、生産販売購買の統制を、各種組合を通じて行なっていった。農業金融の合理化によって負債の固定化を防止しようとした。このような組合方式による負債整理と近代法とのかかわりについて、本研究では収集資料に基づいて分析した。その結果は論文として公表する。