著者
広瀬 侑 佐藤 桃子 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.9-15, 2009-03-31

シアノバクテリアは真正細菌の中で独自の分類群を構成するが,非常に多様で生態学的にも重要である.またモデル生物として研究が非常に進んでいる.研究材料として代表的な種を選んでその特徴を概説する.
著者
原田 尚美 西野 茂人 広瀬 侑 木元 克典
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

本研究の目的は、極域に生息する海洋生物特に、食物網の底辺を支える植物・動物プランクトンに着目し、昇温や海洋酸性化に代表される環境の激変に対してこれら低次生物がどのように応答するのかを明らかにすることを目的としている。具体的には、西部北極海を研究対象海域とし、1)酸性化の脅威にさらされている炭酸塩プランクトンの応答の定量的評価、2)亜寒帯域に生息する植物プランクトン種の温暖化による極域進出の可能性の把握、3)他の海域に生息する種には見られない極域プランクトン種の特異的な機能を明らかにすることを目的としている。平成30年度は以下の研究を実施した。1海洋観測:西部北極海に2点設置したセジメントトラップ係留系の回収ならびに再設置とともにCTD/採水観測、各種センサーによる観測も行う。また、回収された係留系に蓄積された1年分の各層の流向・流速データについて衛星観測による海氷広域分布データとともに時系列の解析を行う。以上の計画どおり実施した。2海洋観測試料分析/データ解析ならびに遺伝子分析手法開発:回収された時系列セジメントトラップの生物起源粒子について検鏡による群集組成と18SrRNA配列を用いた定量的群集解析を実施する計画であった。検鏡観察による群集組成解析はほぼ計画通り実施したが、遺伝子解析については、再度、ホルマリン試料からの遺伝子レスキューの過程の見直しを実施しているところである。3プランクトンの培養・飼育実験ならびにMXCT法開発:北極海由来のプランクトンの炭化水素合成系酵素遺伝子について、現在も引き続き探索を行なうとともに、炭化水素合成量がこれまでより単位細胞あたり1桁多くなるような生育培養条件を見出す事ができた。MXCT法については、新たにオートサンプラー開発を行い、プランクトンの骨格密度測定の効率を上げ、高精度な解析が短時間で可能になるようシステムの高度化を行った。
著者
岩井 雅子 広瀬 侑 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.575-582, 2009-03-31

シアノバクテリアは真正細菌の一種として,相同組換による遺伝子操作がよく整備されているものが多いが,重要な種でも形質転換できないものもある.代表的な形質転換のプロトコルとともに今後の展望を述べる.
著者
広瀬 侑 池内 昌彦
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.403-407, 2016

酸素発生型の光合成を行う原核生物であるシアノバクテリアは,周囲の緑色と赤色の光のバランスを感知して光合成アンテナの組成を調節する.補色順化と呼ばれるこの現象は光合成機能の光質による調節の代表例として知られていたが,光色感知機構の実態は長らく不明であった.われわれは補色順化を制御するフィトクロム様光受容体の同定と解析に成功し,色素のプロトン脱着を介した新奇の緑・赤色光感知機構の存在を明らかにした.
著者
広瀬 侑 池内 昌彦 浴 俊彦
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.41-45, 2017

<p>シアノバクテリアは,1990年代に光合成生物として初めてゲノムがシークエンスされ,光合成のモデル生物として利用されてきた.一方で,シアノバクテリアは多様性の大きな微生物群であり,我々は,シアノバクテリアの光合成アンテナが補色的に調節される光応答(補色順化)の分子機構の多様性について解析を進めている.これまでの解析により,シアノバクテリア門において,補色順化が緑・赤色光感知機構を持つフィトクロム様受容体に制御されていること,補色順化のシグナル伝達経路が2種類存在すること,光色調節を受ける光合成アンテナ遺伝子セットは4種類以上存在することを明らかにしている.さらに,これらの光色感知機構の分布は16Sリボソーム配列に基づく系統樹との相関関係が低いことから,水平伝播による進化が示唆される.今後,より大量の塩基配列情報に基づいた解析を行うことにより,シアノバクテリアの多様な光合成機構の実態が明らかになっていくことが期待される.</p>
著者
広瀬 侑 佐藤 桃子 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.9-15, 2008

1章 植物・藻類・細菌の材料の入手と栽培・培養 2
著者
近藤 久益子 佐藤 桃子 広瀬 侑 渡邊 麻衣 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.295-301, 2009-03-31

フィコビリソームはシアノバクテリア,灰色藻,紅藻に広く存在するフィコビリタンパク質の集光超分子複合体で,光エネルギーの捕集と光環境への順化,分配や貯蔵タンパク質として重要な役割を果たしているが,まだ不明な点が多い.