著者
張 潔
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.87-100, 2022 (Released:2022-06-05)

This paper presents an interpretation of Kierkegaard’s “Contemporaneity with Christ” as the characteristic of Professor Kazuo Mutō’s (1913-1995) thought that intersects faith and mysticism, which are often considered as opposite concepts, in a way interacting with Keiji Nishitani’s mysticism, to develop Mutō’s own standpoint of the philosophy of religion, namely, theological philosophy of religion. Mutō understood Contemporaneity with Christ from the relationship between faith and ethics to faith-mysticism. He sees Kierkegaard’s mysticism of faith as a bridge between Friedrich Schleiermacher and Karl Barth, to a certain degree reconciling the former, accused of pantheistic mysticism, and the latter, sublimated to supernaturalism. Being between Christianity and the Kyoto School, Mutō believes that faithmysticism is a concept of mysticism inherent in Christianity, which can be traced back to the apostle Paul, or as Mutō put it, back to the New Testament. It represents the paradoxical unity of the transcendence of revelation and the immanence of religious experience, as well as a continuity of discontinuous relationship between Christianity and religions, or between the special revelation and the general revelation.
著者
張 潔麗
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.67, pp.57-70, 2021-03-25

本稿では中国高等職業教育分野における1+X制度の位置づけを明らかにするため、従来ある各種証書を制度枠組みと高等職業教育分野における取得方法を整理した。その結果、高等職業教育分野と企業・産業界との緊密なつながりを図る方向性は2000年以降継続してみられ、その具体的な方法は、既存の職業資格証書自体の高等職業教育分野への導入から、各種職業基準が反映される職業技能水準証書の新設までに転換したことが明らかになった。現在、高等職業教育分野では学歴証書、職業資格証書、職業技能水準証書が同時に存在し、これらの組み合わせからなる双証書制度および1+X制度が異なる位置づけを有している。後者の1+X制度は、労働者の学歴教育および職業の間の流動可能性を向上させて、高等職業教育分野と産業界の境界線を不明確にするものとして、高等職業教育分野と企業・産業界の双方の需要が反映される架け橋として位置づけられているといえよう。
著者
張 潔麗
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.289-301, 2019-03-27

中国では21世紀に入って以来、四年制の高等職業教育及びその提供機関としての応用技術型大学を重視することが、中央政府によって提唱され始めた。同時に、応用技術型大学は新設ではなく、既存の四年制本科大学のうち、地方政府所管の一部本科大学からの転換からなることが提起されている。そこで、管理主体になっている各地方政府はどのような意図で、応用技術型大学への転換をどのように計画し推進しているのかを、教育分野と経済分野の政府文書から考察した。その結果、地方政府は中央政府が提起した方針のもとで、各地の経済発展、産業構造の変化によって生じる質の高い専門技術人材の需要に応えるために、応用技術型大学への転換を推進している。各地方政府が実情に応じて多様な計画を定めている、そこには産業構造や高等教育の規模とその構造が影響を与えていると考えられるのである。
著者
田辺 俊介 松谷 満 永吉 希久子 濱田 国佑 丸山 真央 米田 幸弘 斉藤 裕哉 張 潔 五十嵐 彰 伊藤 理史 桑名 祐樹 阪口 祐介
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年の日本のナショナリズムの時点間比較として、前回調査の2009年全国調査データと本科研費によって得た2013年全国調査データを用い、2時点間の比較分析を行った。その結果、愛国主義については大きな変化は見られず、純化主義は一定程度強まる傾向が示された。また排外主義は、対中国・対韓国に対するものと他の外国人に対するものの2種類に分けられた上で、対中国・韓国への排外主義については日本型愛国主義の影響力が強まっていた。この点は、尖閣/釣魚諸島沖衝突事件(2010年)や李 明博大統領の竹島/独島上陸(2012年)ような国家レベルの紛争が、人々の抱く排外主義にも影響した結果と考えられる。