著者
田近 英一 多田 隆治 橘 省吾 関根 康人 鈴木 捷彦 後藤 和久 永原 裕子 大河内 直彦 関根 康人 後藤 和久 大河内 直彦 鈴木 勝彦 浜野 洋三 永原 裕子 磯崎 行雄 村上 隆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

約25億~20億年前に生じた全球凍結イベントと酸素濃度上昇の関係を明らかにするため,カナダ,米国,フィンランドにおいて地質調査及び岩石試料採取を実施し,様々な化学分析を行った.その結果,同時代の地層対比の可能性が示された.またいずれの地域においても氷河性堆積物直上に炭素同位体比の負異常がみられることを発見した.このことから,氷河期直後にメタンハイドレートの大規模分解→温暖化→大陸風化→光合成細菌の爆発的繁殖→酸素濃度の上昇,という可能性が示唆される.
著者
後藤 和久
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.193-205, 2005-04-15
被引用文献数
2 1

今から約6500万年前の白亜紀/第三紀(K/T)境界に地球外天体が衝突したとする説は, その後のメキシコ・ユカタン半島における衝突クレーターの発見や衝撃変成石英などの衝突起源物質の発見により現在では広く認知されるようになり, この衝突こそがK/T境界の生物大量絶滅の原因だったのではないかと考えられている.ところが, この衝突はK/T境界より約30万年前に起き, K/T境界での生物大量絶滅とは無関係だったとする説が一部の研究グループから近年報告され, K/T境界での衝突を支持する研究者との間で論争となっている.そして, 衝突がK/T境界より約30万年前に起きたとする説に対して数多くの矛盾点が指摘され, この衝突はやはりK/T境界で起きた可能性が高いことが再確認されつつある.本論では, 地球外天体衝突とK/T境界の同時性をめぐる一連の論争を紹介し, この問題を検討する.