- 著者
-
徳田 光紀
- 出版者
- Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
- 雑誌
- 物理療法科学 (ISSN:21889805)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2022-09-03)
- 参考文献数
- 38
骨折に対するリハビリテーションは,運動療法を単独で実施するよりも物理療法を併用することで効果的に展開することが可能となる.ただし,どのような物理療法を使用する場合でも,まずは骨折の治癒過程や病態,術式を理解したうえで,適切な物理療法を選択し,対象者の個別性に合わせて実践することが重要となる.例えば,骨折後に出現する様々な疼痛に対して,寒冷療法や圧迫療法,電気刺激療法などを用いることで効果的に鎮痛を図ることが可能であるが,疼痛の原因を理解・推察し,適切に評価したうえで適応する必要がある.また,筋力増強を目的とした電気刺激療法は伝統的に使用されてきたが,骨折後のリハビリテーションで応用するためにはリスク管理の観点も含めて,介入時期や実施方法を考慮する必要がある.本稿では,骨折症例に対する物理療法の臨床応用において,運動療法を効果的に進めるためのリハビリテーション戦略についての取り組みを提示する.