著者
徳田 光紀 唄 大輔 藤森 由貴 山田 祐嘉 杉森 信吾 奥田 博之 池本 大輝 森川 雄生 庄本 康治
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.10-19, 2020 (Released:2020-02-20)
参考文献数
45

【目的】大腿骨近位部骨折術後症例を対象に,神経筋電気刺激療法(以下,NMES)を併用した膝伸展筋力増強運動を実施し,下肢機能および動作能力に与える影響を検討すること。【方法】大腿骨近位部骨折術後症例82 名を術式別に層別化してNMES 群とコントロール群(NMES なしでの筋力増強運動)に無作為に割り付け,術後翌日から各介入を実施した。評価は膝伸展筋力と日本整形外科学会股関節機能判定基準(以下,股関節JOA スコア)を測定し,日常生活動作と歩行の獲得日数を記録した。【結果】NMES 群はコントロール群よりも膝伸展筋力と股関節JOA スコアの有意な向上を認め,日常生活動作や歩行の獲得が有意に早かった。また,NMES 群の方が退院時の歩行レベルが高かった。【結論】大腿骨近位部骨折術後症例に対する術後翌日からのNMES を併用した膝伸展筋力増強運動は,膝伸展筋力の早期改善および日常生活動作や歩行の早期獲得に寄与し,退院時歩行能力を向上させる。
著者
池本 大輝 唄 大輔 森川 雄生 岡村 将輝 黒田 琴葉 藤沢 直輝 倉田 翔太 中山 直樹 寺田 奈穂 徳田 光紀
出版者
公益社団法人 奈良県理学療法士協会
雑誌
奈良理学療法学 (ISSN:18835546)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.2-10, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
34

目的:大腿骨近位部骨折患者において超音波画像診断装置を用いて大腿四頭筋各筋の筋厚および筋輝度の経時的変化を明らかにすること。方法:大腿骨近位部骨折患者47名を対象に,術後1,2,3,4週目と退院時に超音波画像診断装置を用いて大腿四頭筋各筋の筋厚および筋輝度を測定した。結果:大腿四頭筋各筋の筋厚は,健側と患側ともに有意な経時的変化を認めなかった。筋輝度は,健側では大腿直筋の3週目,外側広筋の4週目と退院時,患側では大腿直筋と外側広筋の退院時で1週目よりも有意に低値を示した。 結論:大腿骨近位部骨折患者の筋厚は,すべての大腿四頭筋で入院期間中に変化しなかったが,筋輝度は健側と患側ともに大腿直筋と外側広筋において術後早期から退院時にかけて改善することが明らかとなった。
著者
徳田 光紀 唄 大輔 藤森 由貴 山田 祐嘉 杉森 信吾 奥田 博之 池本 大輝 森川 雄生 庄本 康治
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11638, (Released:2019-12-18)
参考文献数
45

【目的】大腿骨近位部骨折術後症例を対象に,神経筋電気刺激療法(以下,NMES)を併用した膝伸展筋力増強運動を実施し,下肢機能および動作能力に与える影響を検討すること。【方法】大腿骨近位部骨折術後症例82 名を術式別に層別化してNMES 群とコントロール群(NMES なしでの筋力増強運動)に無作為に割り付け,術後翌日から各介入を実施した。評価は膝伸展筋力と日本整形外科学会股関節機能判定基準(以下,股関節JOA スコア)を測定し,日常生活動作と歩行の獲得日数を記録した。【結果】NMES 群はコントロール群よりも膝伸展筋力と股関節JOA スコアの有意な向上を認め,日常生活動作や歩行の獲得が有意に早かった。また,NMES 群の方が退院時の歩行レベルが高かった。【結論】大腿骨近位部骨折術後症例に対する術後翌日からのNMES を併用した膝伸展筋力増強運動は,膝伸展筋力の早期改善および日常生活動作や歩行の早期獲得に寄与し,退院時歩行能力を向上させる。
著者
徳田 光紀
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
pp.2023-014, (Released:2023-06-12)

物理療法による疼痛治療は,病期別の疼痛メカニズムを十分に理解したうえで,物理療法を適切に選択し,実践する必要がある.急性期では,著明な疼痛と炎症症状が身体機能の予後不良に繋がる大きな要因となることから,消炎・鎮痛作用を有する物理療法が選択されるべきである.慢性期では,疼痛に対する直接的な作用を求めるだけでなく,運動療法をアシストするような間接的な役割が可能な物理療法を選択することも含めて治療戦略を考えるべきである.本稿では,病期別の疼痛メカニズムや疼痛治療に応用できる物理療法について概説するとともに,疼痛に対する物理療法の治療戦略について提示する.
著者
瀧口 述弘 徳田 光紀 庄本 康治
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.23-29, 2021 (Released:2022-09-03)
参考文献数
25

経皮的電気神経刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation: TENS)は,電気刺激を用いた非薬物的鎮痛手段である.近年,刺激強度を疼痛の最大耐性強度まで増強させる高強度TENSが試みられているが,その鎮痛機序は明らかではない.高強度TENSの鎮痛機序は,オフセット鎮痛と広汎性侵害抑制調節(Diffuse Noxious Inhibitory Controls: DNIC)が考えられるが,これらの効果が生じるかを検証した報告はない.本研究の目的は,高強度TENSが,オフセット鎮痛やDNICと同様の効果が生じるかを健常人で検証することとした.オフセット鎮痛様条件の実験手順は,1)0-5秒:実験的疼痛のみ,2)5-10秒:高強度TENS + 実験的疼痛,3)10-30秒:実験的疼痛のみとした.これらの疼痛に対する疼痛強度を経時的に測定した.DNIC条件は,5秒間の高強度TENSの実施前後に,TENS実施部位から離れた部位に実験的疼痛を与え,疼痛強度を測定した.オフセット鎮痛様条件とDNIC条件ともにコントロール条件と比較して,有意に疼痛強度が低下した.高強度TENSはオフセット鎮痛とDNICと同様の効果が生じる可能性がある.
著者
佐藤 雅浩 瀧口 述弘 徳田 光紀 庄本 康治
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.65-71, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
29

経皮的電気神経刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:TENS)は電気刺激を用いた非薬物的鎮痛手段である.最大耐性強度で実施する高強度高周波(High intensity, high frequency:HI-HF)TENSは,数分間の実施で広汎性の鎮痛効果が得られるとされており,疼痛部位と離れた部位への刺激によっても鎮痛効果が得られる可能性がある.そのため,手術の影響を受けにくい非手術側へのHI-HF TENSの実施によっても術側の鎮痛効果が得られると考えた.本研究では大腿骨頸部骨折術後患者の運動時痛に対して,手術の影響を受けにくい非術側にHI-HF TENSを実施し,即時的な鎮痛効果を検討することを目的に実施した.大腿骨頸部骨折術後患者6名に対し術後翌日より1週間,HI-HF TENSを非術側へ実施した.実施前後で運動時痛が即時的に軽減した.非術側へのHI-HF TENSは術後の運動時痛を軽減する可能性が示唆された.
著者
徳田 光紀
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2022-09-03)
参考文献数
38

骨折に対するリハビリテーションは,運動療法を単独で実施するよりも物理療法を併用することで効果的に展開することが可能となる.ただし,どのような物理療法を使用する場合でも,まずは骨折の治癒過程や病態,術式を理解したうえで,適切な物理療法を選択し,対象者の個別性に合わせて実践することが重要となる.例えば,骨折後に出現する様々な疼痛に対して,寒冷療法や圧迫療法,電気刺激療法などを用いることで効果的に鎮痛を図ることが可能であるが,疼痛の原因を理解・推察し,適切に評価したうえで適応する必要がある.また,筋力増強を目的とした電気刺激療法は伝統的に使用されてきたが,骨折後のリハビリテーションで応用するためにはリスク管理の観点も含めて,介入時期や実施方法を考慮する必要がある.本稿では,骨折症例に対する物理療法の臨床応用において,運動療法を効果的に進めるためのリハビリテーション戦略についての取り組みを提示する.
著者
脇本 謙吾 唄 大輔 前谷 朱美 徳田 光紀
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.37-40, 2017 (Released:2022-09-03)
参考文献数
9

今回は,義足装着時のみに幻肢痛を認める症例に対して経皮的電気刺激(TENS)の鎮痛効果の検証と痛みの解釈の検討を行ったので報告する.本症例の幻肢痛は,健側の糖尿病性神経障害による痛みと質,部位共に類似していた.方法は,ABAデザインを用い,A期にはプラセボTENS介入,B期にはTENS介入をそれぞれ3日間ずつ実施した.TENSには電気治療器(ESPURGE)を用い,パラメーターはパルス幅150μs,周波数100~250Hzの変調モードに設定し,治療は1日1回30分を同時間帯に実施した.電極の貼付部位は,幻肢痛出現部位及び,断端部と同部位にあたる対側下肢の計4ヶ所とした.幻肢痛の評価としてNRSを用い,痛みの認知的側面に対し破局的思考尺度(PCS)を用いて評価した.TENS介入にて鎮痛効果を認め,鎮痛に伴いPCS得点にも低下を認めた.結果から,本症例の幻肢痛に対する健側へのTENSの有効性と,鎮痛に伴う痛みの認知的側面への効果が推察された.
著者
徳田 光紀 唄 大輔 藤森 由貴 亀口 祐貴 庄本 康治
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.63-66, 2016 (Released:2022-09-03)
参考文献数
10

本研究の目的は大腿骨頚部骨折術後症例を対象に,術後翌日から電気刺激治療を併用しながら筋力強化運動を実施する電気刺激併用筋力強化法の効果を検討することである.大腿骨頚部骨折術後に人工骨頭置換術を施行した8名を対象に電気刺激併用筋力強化法群(ES群)4名とコントロール群4名に割り付けた.電気刺激併用筋力強化法は電気刺激治療器(ESPERGE)で患側の大腿四頭筋に対して二相性非対称性パルス波,パルス幅300 µs,周波数80 pps,強度は運動レベルの耐えうる最大強度,ON:OFF=5:7秒に設定して毎日20分間実施した.膝伸展筋力(患健側比),股関節JOAスコア,日常生活動作および歩行の自立するまでに要した日数を評価し,各群で比較した.ES群はコントロール群よりも筋力や股関節JOAスコアは早期に改善し,日常生活動作および歩行の自立も早かった.大腿骨頚部骨折後の人工骨頭置換術後症例に対する術後翌日からの電気刺激併用筋力強化法は,膝伸展筋力の改善や日常生活動作および歩行の早期獲得に効果的に寄与することが示唆された.
著者
大江 健人 瀧口 述弘 徳田 光紀 庄本 康治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.929-933, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
29

〔目的〕脊椎圧迫骨折後疼痛患者1名への経皮的電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation:TENS)が与える影響の検討.[対象と方法]80代女性,診断名は第2腰椎圧迫骨折であった.プラセボTENSをA期,通常のTENSをB期として1日ずつを交互に,計4日間実施した.TENS実施前後に安静時痛をVisual Analog Scale(VAS)で測定し,Timed up and Go test(TUG)とTUG後疼痛をVASで測定した.〔結果〕A期に比べB期では安静時痛VAS,TUG後疼痛VAS,TUGで大きな改善を示した.〔結語〕脊椎圧迫骨折後の症例においてTENSは疼痛と運動パフォーマンスの即時的改善に効果的な可能性が示唆された.
著者
徳田 光紀 庄本 康治 冨田 恭治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.565-570, 2012 (Released:2012-12-05)
参考文献数
18
被引用文献数
6 1

〔目的〕肩関節術後症例に対する経皮的電気刺激治療(TENS)の効果を電極設置部位に着目して比較検討することである.〔対象〕肩関節術後症例12名とした.〔方法〕TENS前,中,後の電流知覚閾値(CPT),疼痛強度(VAS),関節可動域(ROM)を評価した.TENSの電極設置は,疼痛部位の皮膚分節領域と一致させる方法(電極設置A)と一致させない方法(電極設置B)で実施した.〔結果〕電極設置Aでは,電極設置BよりもTENS中,TENS後に有意なCPTの上昇やVASの減少を認めた.また,ROMはどちらの電極設置でも改善された.〔結語〕肩関節術後症例に対するTENSは,疼痛部位の皮膚分節領域上に電極設置部位を一致させると効果的である.