- 著者
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志村 哲祥
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.415-426, 2020-04-15
抄録 不眠は非常に一般的な問題であるが,不眠症状が存在するとしてもただちに不眠症とは診断できず,睡眠薬による薬物療法は治療の第一選択とはならない。はじめに睡眠の状態の把握や治療要否の検討,各種疾患の鑑別が必要である。さらに,多くの睡眠障害においてベンゾジアゼピン受容体作動性の睡眠薬は適応とはならず,効果も期待できない。他の睡眠障害が否定され,不眠症であると診断し,睡眠衛生指導でも効果が乏しい場合には薬物療法が検討される。ベンゾジアゼピン受容体作動薬はさまざまな副作用や依存形成リスクが存在し,リスク・ベネフィット比が不良であるため,処方はきわめて慎重になされるべきであり,減量する際にも漸減法を実施するなどして,反跳性不眠や離脱が生じないようにする必要がある。