著者
戸上 英憲 野呂 影勇
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.155-162, 1987-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
24
被引用文献数
6 7

VDT作業の愁訴率は, 眼および頸肩部が圧倒的に高い. 本論文は, 特に後者についての負担を軽減する目的でVDT作業台の座位身体寸法値に基づく最適な高さ決定の方法を提案した. この方法に従いキーボード置台およびCRTディスプレイ置台の高さを求め, また椅子の座面高さについても, 具体的に数値を求めた. キーボード置台の高さは, キーボードの厚みおよび脚空間のゆとりを確保すると, 現用のJIS S 1010の定める事務用机の高さである70cmより低い値が得られた. CRTディスプレイ置台の高さは, オペレータの視覚能力を十分発揮できるように視機能面からも検討した. その算出結果を実際の職場におけるオペレータ選好値と比較した結果, ほぼ等しい範囲にあり, 本設定法の妥当性が示されたVDT作業台の差尺は, 1/3座高-(4~6)cmがこの方法により求められた.
著者
青山 雄一 木下 良正 横田 晃 戸上 英憲
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.37-44, 2002-03-01

正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus;NPH)の3主徴のうち歩行障害は,治療効果を推測する上で重要な症状である.しかし,これまで歩行障害の客観的評価やシャント術後の歩行障害の改善度の定量的評価法はなかった.今回我々は,3次元動作解析システムおよびforce plateシステムを用いて特発性NPH患者のシャント術前後において歩行解析を行った.術前,下肢3関節角度パターンは小さく不規則であった.床反力パターンは足底接地によるつま先の踏み込み部分のベクトルピークがない1峰性であった.術後には歩行障害が改善するとともに下肢3関節角度パターンが正常化していた.床反力パターンも足底接地が改善し,踏み出しのピークを持つ2峰性となり,正常パターンに近づいていた.歩行解析を応用することによりシャント術前後の歩行を客観的に評価することが可能であったNPH患者の1症例を報告した.