著者
佐々木 貴宏 所 真理雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.365-378, 1997-07-15
被引用文献数
6

マルチエージェント系におけるエージェントの環境への適応は,進化論からの類推に基づき,個体による生涯内での「学習」と集団による世代をまたいだ「進化」といった異なる2過程の相補的なものとして捉えられる.本稿では,ダーウィン型あるいはラマルク型の遺伝機構を持つ集団の進化の過程を再現し,特に動的な環境下でのそれぞれの集団の適応性について評価および議論する.その結果,ダーウィン型の集団の方が,静的環境下では効率的なラマルク型の集団よりも環境の変動に対して安定した挙動を示すばかりでなく,世代を通じて動的環境自体に適応していくことが可能であることを示す.
著者
横手 靖彦 所 真理雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.582-598, 1985-10-15
被引用文献数
3

ConcurrentSmalltalkはSmalltalk-80に並行プログラミング能力を付加したプログラミング言語/システムであり,並行構文,アトミック・オブジェクト,および外部参照解決機構により,分散環境での並行プログラミングを可能にしている.本論文では,オブジェクト指向計算と並行プログラミングについて述べた後,ConcurrentSmalltalkの設計方針と言語仕様について,主に並行プログラミング機能を中心に述べている.最後に,ConcurrentSmalltalkの実装についても述べている.
著者
所 真理雄
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1973-03-15
著者
吉田 隆一 所 真理雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.23-33, 1987-01-14
被引用文献数
2

待ち行列モデルに代表される離散事象モデルのシミュレーションを,マルチ・プロセッサまたは分散システムを用いて並列処理する際のシミュレーション時刻の分散管理法を提案する. モデル化の手法としては,待ち行列網をフロー・グラフに表現する方法を採る.そして,グラフのノードを並列処理の単位となるプロセスとし,客のノ一ドへの到着をメッセージの受信により表現する.各ノードはそれぞれのシミュレーション時計を持ち,これらの時計の同期はノード間のメッセージ交換により局所的にとられる. 提案したアルゴリズムはオブジェクト指向言語を用いて実装された.オブジェクト指向モデルによるオブジェクトを単位とした並行記述により,離散事象モデルに存在する並列性を陽に表現することが容易に行なえた.また,これまでに提案されたシミュレーション時刻の分散管理法に比べて同期のためのメッセージ量が大幅に減少することが確かめられた.
著者
丸一 威雄 市川 正紀 所 真理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.1768-1779, 1990-12-15
被引用文献数
6

魚の群れ スポーツのチームプレイ 会社組織など 主体的に活動する複数の個体が協調しながら問題解決を行うシステムを表現する組織計算モデルを提案する組織計算モデルは 個体の自律性を向上させるメッセージ・インタプリタ および不特定多数との通信を実現する環境の概念を導入した並行オブジェクト計算モデルであるこの計算モデルでは 各個体(自律的エージェントと呼ぶ)は自分の判断で主体的に仕事を処理し 個体間で生じた問題の解決は各個体の意志決定を中心に行うという特徴がある本論文では この組織計算モデルの分散協調問題解決への応用例と分散環境での実現方法についても述べる
著者
伊藤 純一郎 横手 靖彦 所 真理雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.30-34, 1997-01-16

インターネットで現在利用されているIPv4プロトコルは,インターネットの爆発的成長に耐えられない,という指摘がある.このため,IPv6プロトコルが提案され,現在移行へ向けた考察が行われている.しかしながら,現在のルータソフトウェア構成法では,今後行われるプロトコル策定やプロトコルの仕様変更などに柔軟に対処することが困難である.本論文では,Apertosオペレーティングシステム上にIPv6ルータのプロトコル処理部を実装することで,これらの問題の解決を目指している.本方法では,並行オブジェクトによるソフトウェア構成によりプロトコル処理部のモジュール間の独立性を確保し,自己反映計算に基づくOSアーキテクチャの利用によりプログラマに最適なプログラミング環境を提供することができる.
著者
佐々木 貴宏 所 真理雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.717-726, 1997

エージェントが環境に対して適応していく過程には,各個体によって為される「学習」と変異および淘汰によって集団レベルで起こる「進化」の二つの側面があり,それぞれが相補的に作用していると考えられる.本稿では,進化論の歴史に登場するダーウィニズムとラマルキズムに基づく遺伝機構を持つ集団を考え,それぞれの集団が辿る進化的な過程をニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを用いた抽象的なモデル上で観察する.特に,動的な環境下でのそれぞれの集団の適応性について評価および議論する.その結果,ダーウィン型の集団の方が,静的環境下では効率的なラマルク型の集団よりも,環境の変動に対して安定した挙動を示すばかりでなく,世代を通じて動的環境自体に適応していくことが可能であることを示す.