- 著者
 
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             入江 忠信
             
             金古 善明
             
             中島 忠
             
             斉藤 章宏
             
             太田 昌樹
             
             加藤 寿光
             
             飯島 貴史
             
             八木 宏明
             
             富田 智之
             
             間仁田 守
             
             伊藤 敏夫
             
             倉林 正彦
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 公益財団法人 日本心臓財団
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 心臓 (ISSN:05864488)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.42, no.2, pp.239-244, 2010 (Released:2011-12-20)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 9
 
          
          
        
        
        
        症例は73歳, 女性. 2008年11月から, 息苦しさ, 顔面, 下肢の浮腫が出現した. 入院時心電図は心拍数42/分, 2対1房室ブロック, QRS幅90ms, 胸部写真にてCTR 55%, 肺血管陰影の増強あり, 正常冠動脈, 左室収縮能は良好で, 徐脈によるうっ血性不全と診断した. 血清カリウム値2.6mEq/Lと低下していたため, カリウム製剤の投与を開始した. 入院直後のホルター心電図では, 完全房室ブロック, Mobitz II型第2度房室ブロックも認めた. 第2病日には第2度以上の房室ブロックは消失した. 第5病日には血清カリウム値は正常化し, 以後低カリウム血症の再燃はなかった. 低カリウム血症をきたす内分泌・腎疾患を認めず, 原因は不明であった. 電気生理学的検査にて洞調律時に分裂ヒス電位を認め, ピルジカイニド25mg投与後に2対1ヒス束内ブロックとなり, ヒス束内伝導障害を認めた. 房室結節伝導は正常であった, ペースメーカーの適応については, 房室ブロックに対する低カリウム血症の関与の有無にかかわらず, ヒス束内伝導障害があるためclass IIaの適応と考え, 永久的ペースメーカーの植え込みを行った. 本例は, もともとヒス束内伝導障害があるうえに, 低カリウム血症によりヒス束の不応期の延長あるいは第4相の過分極をきたし房室ブロックをきたしたと推測した.