- 著者
-
斎藤 義夫
- 出版者
- 千葉大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1994
本研究では,異機種の知能化機器で構成された加工セルを対象として,セル内での協調作業の分析を行うとともに,協調制御を実現するために知識獲得方法の獲得および学習機能の付与を試みた.また,具体的に画像処理装置とロボット加工セルよりなるシステムを実際に構築し,木材の加工を行い,自己学習の実現を目標に研究を行った.その結果,下記に示すように多くの新しい知見を得ることができ,所期の目的を満たす研究成果があげられた.1.協調制御に関する知識獲得過程の分析と自己学習機能の検討:個々の知能化レベルにより具体的な協調動作は異なり,事前に獲得した知識レベルの状態が重要な因子となる.そこで,知識工学や心理学など幅広い分野の成果を集め,知識獲得と自己学習の過程を分析し,学習過程において重要となる概念形成の構築を試みた.具体的には,「図面,図形に対する類似性の概念構築に関する研究」として,概念形成の自動学習方法について新しい提案を行った.2.協調制御加工セルの試作と自己学習の実現:ロボットとビジョンシステムで構成された加工セルのプロトタイプを試作し,これを用いて知識獲得による自己学習の実現を試み,運用面での問題点について検討を行なった.実際に,「ロボットビジョンシステムによる木版彫刻加工の最適化」を試み,知能化機器が自分及びセル内の他の機器の知能化レベル(レディネス)に対応して作業内容を分解し,それぞれに適した内容として実行することを行った.ここで,各工程で獲られた新たな知識を自分自身に取り込む過程を繰り返すことにより,自己学習を行ない,実際の協調作業に適したセルとして成長することを目標とし,その実用化における問題点を明らかにすることができた.