著者
篠田 喜一 佐藤 正喜 輿石 義雄 長根 尉 中尾 正明 西村 寧 小出 桂三 越川 昭三 山根 至二 日高 三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.215-223, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
45

尿毒症の原因について,化学物質の面から探求する目的で,腎不全患者血漿中の特異成分の解明を試みた。すでに報告したように,薯者らは水系高速液体クロマトグラフィーにより,腎不全患者血漿中に特異的に検出されるピーク(ピーク2a)を見いだし,これが,尿毒症毒素を含む可能性のあることを示した。本報では2a画分について,紫外吸収成分をさらに分離し,その構成成分の同定に供した。その結果,表1に示した10成分を解明するとともに,これらの尿毒症毒素としての可能性について考察した。2-デオキシ-2,3-デヒドロ-N-アセチルノイラミン酸,N2-フェニルアセチルグルタミン,キノリン酸はヒトの代謝産物であり,その生物学的活性から,尿毒症毒素としての可能性が示唆された。そのほか,4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルポニル]フェニルβ-グルコピラノシドウロン酸は,そのオルト異性体が尿毒症毒素としての可能性が指摘されており,注目すべき物質と考えられた。
著者
日高 三郎 Saburo HIDAKA 福岡医療短期大学歯科衛生学科・草木社 Department of Dental Hygiene Fukuoka College of Health Sciences and SomokuSha
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.321-326, 2002-09-20

仏の三十二相とは健康,大身,柔軟という身体的特徴の羅列であるが,その表現するところは荒唐無稽・皮相浅薄であって,現代的にば受け入れ難い.しかしながら,32相のうち,歯,口,舌,味など7相は歯科医学に関連した事柄であるので,ここに歯科医学の特色があると考えられる.そこで,三十二相に関して法華経経文上と日蓮解釈との違いを比較した.日蓮の解釈ば経典上の記述を否定するものでなく,全的生命観に立ち還るものであった.この全体的・総合的生命は,歯科医学における「生命の部分観」を克服する方途を示唆すると考えられる.
著者
日高 三郎 Saburo HIDAKA 福岡医療短期大宇歯科衛生宇科・草木社 Department of Dental Hygiene Fukuoka College of Health Sciences SomokuSha Fukuoka
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.16-21, 2001-02-20
参考文献数
24
被引用文献数
1

古い伝承文献である法華経経典の中から歯科医学関連の単語として,歯,口,舌を含んだ語句を採り出しそれらの表現について検討した.歯,口,舌の語句は特徴的に三十二相・八十種好の中で釈尊の尊貴な姿を賛えるために使用されていた.一方,病的ないし不健康状態については歯の着色・形状・歯並び,口臭,舌の病気に関する表現が見られた.病的状態の原因について,仏法では善因善果,悪因悪果という因果応報で説明している.このことは現代人の考える病因論とは非常に異なっている.しかし,これら法華経中の歯,口,舌に関する表現の中には現代に通じるものがあり,われわれの健康・審美思想は法華経経典から強く影響を受けていると考えられた.
著者
日高 三郎 東納 恵子 岡本 佳三
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.165-172, 2005-07-30 (Released:2018-03-23)

洗口剤の口腔内リン酸カルシウム沈殿物形成(歯石形成, エナメル質再石灰化)に与える影響の可能性を調べるため, 洗浄, 抗菌, 殺菌, 抗炎症, 抗口臭, 湿潤効果のいずれかを1〜3つもつ9種類の市販洗口剤のin vitroリン酸カルシウム沈殿物形成に対する抑制能をpH低落法を用いて測定した.その結果は, ハイザック^[○!R]>コンクールF^[○!R]&gtモンダミン^[○!R]>GUM^[○!R]>レノビーゴ^[○!R]>リステリン^[○!R]>1/15希釈イソジン^[○!R]>1/50希釈ネオステリングリーン^[○!R]>絹水^[○!R]の順であった.さらに, これらの抑制能は抗歯石剤エチドロン酸の濃度範囲10〜60μMで比較すると, より強いかほぼ同じ能力のものであった.ハイザックはその成分中に促進剤を含んでいながら, その効果からは最強の抑制剤であった.これらのことから市販の洗口剤が副作用として抗歯石・抗エナメル質再石灰化作用を有する可能性が強く示唆された.このため, 洗口剤の適用にあたっては抗石灰化効果を考慮に入れておく必要があると思われる.
著者
日高 三郎 大石 明子
出版者
福岡医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

4種類の日常的な食事献立の試験管内石灰化への影響につきpH低落法を用いて研究した。主食のごはんは石灰化を促進させたが、食パン(トースト)は抑制した。献立1~3のじゃがいもなど2~3の料理と食材、さらに洋食的な献立4のバターなど2~3の料理と食材は石灰化を促進した。しかし、促進効果は口腔内では唾液の影響で発揮されないと考えられるので、われわれの日常的食事は歯石形成に抑制的であることが示唆される。