著者
松石 昌典 久米 淳一 伊藤 友己 高橋 道長 荒井 正純 永富 宏 渡邉 佳奈 早瀬 文孝 沖谷 明紘
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.409-415, 2004 (Released:2006-07-26)
参考文献数
7
被引用文献数
19 21

黒毛和牛肉に特有な好ましい香りである和牛香に寄与する香気成分を明らかにするために,和牛肉と輸入牛肉(豪州産)から連続水蒸気蒸留により香気画分を取得し,ガスクロマトグラフィー分析,ガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリー分析,ガスクロマトグラフィー-においかぎ分析を行った.分析の結果,ラクトン類5種,ケトン類5種,アルコール類8種,不飽和アルコール類3種,エステル類2種,脂肪族アルデヒド類9種,脂肪族不飽和アルデヒド類8種,酸類2種,その他6種の計48成分が同定された.このうち,40成分は輸入牛肉より和牛肉に多く検出され,特にラクトン類は和牛肉に著しく多かった.同定された成分についてAEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)法により香気寄与率を示すFD factor(flavor dilution factor)を求め,香気特性と合わせて和牛香への寄与を検討した.その結果,和牛香の甘さには,ココナッツ様,桃様の香りを有するラクトン類が寄与し,脂っぽさには脂臭い香りを有する一部のアルコール類やアルデヒド類などと,バター様の香りを有するジアセチルやアセトインなどが寄与していると推定された.
著者
金子 成延 児玉 偉丈 神山 紀子 渡辺 寛人 早瀬 文孝
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.439-442, 2013-08-15 (Released:2013-08-31)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

押麦加工した大麦に加水後加熱して生じる揮発性化合物を連続水蒸気蒸留法で抽出してGC,GC-MSで分析し,炊飯した大麦の香気成分についてアルデヒド11種,アルコール11種,ケトン9種,カルボン酸1種,フラン化合物2種を同定した.AEDA法により最大のFDファクターを示したアルデヒド4種(hexanal,(E,E) -2,4- nonadienal,(E) -2-nonenal,(E,E) -2,4-decadinenal) が炊飯大麦の香気の特徴に関与していることが明らかになった.
著者
早瀬 文孝
出版者
明治大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

ラットに発がん性ヘテロ環アミノ化合物を与えると,肝臓に前がん病変のマーカー酵素である胎盤型グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST-P)の発現を経て,肝がんを誘発することが知られている。本研究ではラット初代培養肝細胞を無血清培地でPrimariaディッシュを用いてスフェロイド培養し,化学発がん過程におけるメラノイジン(MEL)添加の抑制効果について調べた。MELはグルコースとグリシンの非透析性画分より調製した。発がん性物質にはMeIQx、Trp-P-2を用いた。対照群をMEL無添加群とし、各濃度のMELを添加した群についてMELの化学発がん抑制作用を検討した。5日間の培養後、肝細胞のアルカリフォスファターゼ活性を測定したところ著しい変動は認められず、肝機能は維持されていると推察された。その肝細胞を用い、MeIQxによるGST-PmRNAの発現誘導がスフェロイド培養細胞で認められるかについて、抗GST-P抗体を用いたELISAによってGST-Pタンパク質の検出を行った。その結果、10nM〜1μMのMeIQx添加で対照群と比較し、有意にGST-Pタンパク質の発現が上昇した。そこで5日間の培養細胞から全RNAを抽出し、GST-PのcDNAをプローブとしてノーザンプロット分析を行った。その結果、10nM添加のMeIQxおよび7.8nM添加のTrp-P-2群のGST-P mRNAの発現はそれぞれ無添加群の4.1、9.2倍に増加した。これらの群に0.1%あるいは0.01%MELを発がん性物質と同時に添加することにより発がん性物質無添加群とほぼ同レベルまで抑制された。本研究の結果からMELがMeIQx、Trp-P-2によるGST-P mRNAの発現誘導をほぼ完全に抑制することが明らかとなった。これはヘテロ環アミノ化合物がMELに吸着されること、中間代謝活性化体であるヒドロキシルアミン体がMELとの反応により不活性化されるためであると推察される。
著者
早瀬 文孝
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.722, 2001-10-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
3
著者
早瀬 文孝
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1137-1145, 1997-10-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
45
被引用文献数
7 7

メイラード反応は食品の加工, 貯蔵時の化学的成分変化の中で最も重要な反応の一つである。この反応は非酵素的に進行し, 土壌中や生体内においても進行する。メイラード反応は酸化的反応と非酸化的反応に類別できる。酸化的反応において, グルコースの自動酸化や酸化的糖化反応 (glycoxidation) によって後期段階反応生成物 (AGE) が生成する。その反応過程に活性酸素が生成する。非酸化的反応においては3-デオキシグルコソン (3DG) のようなデオキシオソンが生成し, AGEの生成へと反応は進行する。一方, AGEの一種でもあるメラノイジンはヒドロキシルラジカル, 過酸化水素, スーパーオキシドのような活性酸素を強力に消去する。この消去活性はメラノイジンの抗酸化性や脱変異原性発現機構の一つとして説明できうる。
著者
松石 昌典 久米 淳一 伊藤 友己 高橋 道長 荒井 正純 永富 宏 渡邉 佳奈 早瀬 文孝 沖谷 明紘
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.409-415, 2004-08-25
被引用文献数
11 21

黒毛和牛肉に特有な好ましい香りである和牛香に寄与する香気成分を明らかにするために,和牛肉と輸入牛肉(豪州産)から連続水蒸気蒸留により香気画分を取得し,ガスクロマトグラフィー分析,ガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリー分析,ガスクロマトグラフィー-においかぎ分析を行った.分析の結果,ラクトン類5種,ケトン類5種,アルコール類8種,不飽和アルコール類3種,エステル類2種,脂肪族アルデヒド類9種,脂肪族不飽和アルデヒド類8種,酸類2種,その他6種の計48成分が同定された.このうち,40成分は輸入牛肉より和牛肉に多く検出され,特にラクトン類は和牛肉に著しく多かった.同定された成分についてAEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)法により香気寄与率を示すFD factor(flavor dilution factor)を求め,香気特性と合わせて和牛香への寄与を検討した.その結果,和牛香の甘さには,ココナッツ様,桃様の香りを有するラクトン類が寄与し,脂っぽさには脂臭い香りを有する一部のアルコール類やアルデヒド類などと,バター様の香りを有するジアセチルやアセトインなどが寄与していると推定された.