著者
平尾 秀博 井上 知紀 星 克一郎 小林 正行 島村 俊介 清水 美希 田中 綾 高島 一昭 森 有一 野一色 泰晴 山根 義久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.357-362, 2005-04-25
被引用文献数
2

新型の弁付き導管を犬大動脈弁を用いて作成した.生体代替弁はグルタールアルデヒドとエポキシ化合物(Denacol-EX313/810)により固定した.超極細ポリエステル繊維製人工血管(直径10mm, 全長20mm)を使用した.犬4頭に左心室-大動脈間弁付き導管(AAVC)移植術と大動脈バンディングを行いバイパス群とした.もう4頭にはAAVC移植術は行わず大動脈パンディングのみを行いコントロール群とした.心臓カテーテル検査と心血管造影検査を術後2週間, 6カ月に行い, 血行動態を評価した.左室収縮期圧, 左室拡張終期圧, 左室-大動脈間圧較差それぞれにおいて2群間に有意な差(p<0.01)がみられた.左室心血管造影検査でバイパス群の全頭において弁付き導管の開存が確認された.心臓エコー検査を術前, 術後2, 4, 6カ月に行った.コントロール群では圧負荷による心筋の求心性肥大がみられ, 一方バイパス群では左室の遠心性肥大がみられ, AAVCにより左室圧負荷の軽減が維持されていることが示唆された.
著者
古川 修治 永島 由紀子 星 克一郎 平尾 秀博 田中 綾 丸尾 幸嗣 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.121-128, 2001 (Released:2007-05-29)
参考文献数
26

犬に対する有効なドパミンの投与方法を確立するため、ドパミンが循環動態に及ぼす影響を検討した。各投与量(3、10、20μg/kg/min)のドパミンを麻酔下の健常雑種犬に持続点滴投与し、カラードマイクロソフェア法による各種臓器血流量の測定を行った。その結果、ドパミンの効果は、特異的ドパミン受容体やα、βアドレナリン受容体への作用以外に、生体の血流量調節機能にも影響をうけることが示唆された。脳では各受容体への作用が弱く、自己調節機能によって血流量が維持されていると考えられた。心臓血流量は心拍出量に対応した変化を示した。ドパミンが高用量投与になるほど、心拍出量と心拍数の増加が認められたことから、心臓に対する負荷の増大を考慮する必要があった。消化管(胃や腸)における血流量の変化からは、ドパミンの効果で増加した血液が、時間経過とともに、要求部位へ移動することが示唆された。ドパミンが高用量投与になるほど、各種臓器にαアドレナリン受容体刺激作用による影響が認められた。しかし、本実験では、10μg/kg/min投与群で、心臓と腎臓の十分な血流量増加が認められたことから、犬に対するドパミンの適応範囲拡大が示唆された。