著者
浅野 大喜 瀬戸 雄海 山崎 千恵子 清水 健太 瀬川 麻衣子 小林 正行
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11888, (Released:2020-09-12)
参考文献数
16

【目的】COVID-19 により入院した高齢者と若年者の2 例に対し,感染対策をしながら理学療法を実施した。今回,その取り組み方法と症例の経過について報告する。【方法】実施にあたり,部署内で,担当者の選定,実施方法の選択,実施中の留意点の取り決めを行った。それにしたがい高齢者には直接介入,若年者には間接介入を選択し実施した。評価は,症例1(高齢者)は運動,認知機能について,症例2(若年者)は精神機能について評価を行った。【結果】症例1 は,運動,認知機能ともに初期評価時より向上し,入院32 日目に入院前に生活していた施設に退院した。症例2 は,運動機能の維持だけでなく,抑うつや混乱などの精神機能にも向上がみられ,入院24 日目に自宅退院となった。【結論】入院中のCOVID-19 患者に対する理学療法は,高齢者,若年者いずれの場合においても,運動機能,認知・精神機能に対して効果があることが示唆された。
著者
小林 正行
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.1-16, 2006-10-01

本稿は、「強調」や「例示」の意を表すとされる助詞バシについて、狂言台本における使用実態を明らかにし、その用法の変遷を考察するものである。この調査で以下の事実を明らかにした。・上接語は、名詞を直接上接するものが大半を占める。そのうち、目的格相当は全期通じて用いられ、主格相当は近世中期以降の台本で新たに多用される。デ・ニテを上接するものも近世中期以降多用される。・共起する句末表現は、疑問表現が大勢を占める。禁止表現は謡など定型的な用例に限られ、新しいバシはほぼすべて「ゴザルカ/オリャルカ」という丁寧な疑問表現と共起する。これらの事実から、用法の変遷についての考察を行い、以下の結論を得た。・本来上接語を際立たせる「強調」の働きを持っていたバシは、その代表的な用例の性質から、「例えばこのようなもの」と上接語の同類の集合を想定させる「例示」の働きとして解釈され、さらに、新たに上接語の同類の集合を仮想的に表して、「品位」を持って疑問を表す用法が近世中期以降の台本に見られるようになる。
著者
平尾 秀博 井上 知紀 星 克一郎 小林 正行 島村 俊介 清水 美希 田中 綾 高島 一昭 森 有一 野一色 泰晴 山根 義久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.357-362, 2005-04-25
被引用文献数
2

新型の弁付き導管を犬大動脈弁を用いて作成した.生体代替弁はグルタールアルデヒドとエポキシ化合物(Denacol-EX313/810)により固定した.超極細ポリエステル繊維製人工血管(直径10mm, 全長20mm)を使用した.犬4頭に左心室-大動脈間弁付き導管(AAVC)移植術と大動脈バンディングを行いバイパス群とした.もう4頭にはAAVC移植術は行わず大動脈パンディングのみを行いコントロール群とした.心臓カテーテル検査と心血管造影検査を術後2週間, 6カ月に行い, 血行動態を評価した.左室収縮期圧, 左室拡張終期圧, 左室-大動脈間圧較差それぞれにおいて2群間に有意な差(p<0.01)がみられた.左室心血管造影検査でバイパス群の全頭において弁付き導管の開存が確認された.心臓エコー検査を術前, 術後2, 4, 6カ月に行った.コントロール群では圧負荷による心筋の求心性肥大がみられ, 一方バイパス群では左室の遠心性肥大がみられ, AAVCにより左室圧負荷の軽減が維持されていることが示唆された.
著者
山極 哲也 松屋 美幸 伊藤 怜子 大西 直世 来住 知美 小林 正行
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.49-54, 2023 (Released:2023-02-13)
参考文献数
14

日本バプテスト病院では,ホスピスを中心に,約70名のボランティアが活動している.2020年2月,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行により,多くのホスピス緩和ケア病棟でボランティア活動が休止される中,チームの一員であるボランティアの活動を継続するための方法を模索してきた.直接患者と交流する代わりに,作品や植物を通して季節や社会の風を届ける工夫や,オンラインによるスタッフ会議や遺族会の開催など,新たなボランティア活動の方法を見出すことができた.また,院内COVID-19対策会議にホスピス担当者も参加し,最善のケアのためにはボランティアの存在が重要であることを病院全体で共有した.そのうえで,「COVID-19流行状況に応じたボランティア活動指針」を感染対策チームと共同して作成し,感染対策に配慮したうえでボランティア活動を継続することが可能となった.
著者
松本 忠彦 白川 康太郎 横山 勝 福田 寛文 サルカ アナマリア ダニエラ 小藪 助直 山崎 寛章 数馬 安浩 松井 宏行 丸山 亙 永田 佳代子 田邊 史子 小林 正行 新堂 啓祐 森下 了 佐藤 裕徳 髙折 晃史
出版者
Springer Science and Business Media LLC
雑誌
Scientific Reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
no.9, 2019-06-05

がんに遺伝子変異を導入する酵素の分子スイッチを発見 --リン酸化によるDNAシトシン脱アミノ化酵素の活性制御機構--. 京都大学プレスリリース. 2019-06-07.
著者
中尾 周 清水 美希 松本 英樹 千村 収一 小林 正行 町田 登
出版者
獣医循環器研究会
雑誌
動物の循環器 = Advances in animal cardiology (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-10, 2007-06-01
被引用文献数
1

犬における心房細動(AF)の発生にかかる形態学的基盤について明らかにする目的で,生前にAFを示した犬5例の心臓について,心房筋および洞結節を中心に組織学的検索を実施した。症例1は雑種,10歳,僧帽弁および三尖弁閉鎖不全症例であり,AFは死亡前の4カ月間持続した。症例2はマルチーズ,14歳,僧帽弁および三尖弁閉鎖不全症例であり,AFは死亡前の10日間認められた。 症例3はゴールデン・レトリーバー,雌,2歳,右室二腔症および三尖弁異形成を有しており,AFは死亡時まで6カ月間持続した。症例4はゴールデン・レトリーバー,5歳,孤立性AFであり,交通事故により死亡するまで4週間持続した。症例5はゴールデン・レトリーバー,10歳,孤立性AFであり,心不全により死亡するまで36カ月間持続した。肉眼的に,症例1および2では左心房の重度拡張ならびに右心房の中等度拡張,症例3では右心房の重度拡張がみられたが,症例4および5の心房に著変は認められなかった。心房の組織学的変化は,顕著な変化が認められなかった症例4を除く4例に見いだされた。心房病変はいずれの例においても間質性心筋線維化に総括されるものであり,種々の程度に心筋線維の伸長・萎縮・脱落を伴っていた。間質性線維化の程度(ごく軽微±~重度+++)は,症例1:左心房(+++)/右心房(++),症例2:左心房(+++)/右心房(++),症例3:左心房(±)/右心房(+++),症例5:左心房(+)/右心房(+)であった。なお,全例において洞結節に著変は認められなかった。以上の検索結果から,小型~中型犬では心房の拡張がAFの発生要因になるが,心房が一定以上の容積を有している大型犬の場合は心房に器質的変化がなくてもAFは発生しうること;AF症例の心房にみられる間質性心筋線維化はAFの結果として生ずるものではないこと;AFの発生に洞結節の器質的変化は必須要件ではないことなどが示された。