著者
上田 康晴 野口 周作 牧 真彦 上笹 宙 望月 徹 畝本 恭子 黒川 顕
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.8-16, 2007-01-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
26
被引用文献数
4

救急領域におけるmethicillin-resistant Staphylococcus aums (MRSA) 感染症に対するteicoplanin (TEIC) の高用量投与 (初日1,600mg/日, 以降800mg/日) を実施し, 本薬剤投与後の血中トラフ値推移と有効性および安全性との関係について検討し, 下記の成績が得られた。(1) MRSAに起因する肺炎10例, 創部感染症2例に対するTEICの臨床的有効率は, 100%であった。(2) 細菌学的効果は全症例のうち, 消失9例, 減少1例, 菌交代2例, 不変0例であった。TEIC単独治療8例では消失7例, 減少0例, 菌交代1例, 不変0例で, 他薬剤併用治療4例では消失2例, 減少1例, 菌交代1例, 不変0例であった。なお全12例中4例にPseudomoms aeruginosaとの複数菌感染が認められた。(3) 投与例では本薬剤に起因する副作用は認められなかった。(4) TEIC血中トラフ値は, day2で17.5±6.7μg/mL, day4で163±6.3μg/mLと若干低下するものの定常状態となり, day8でも20.5±6.9μg/mLとTEICの蓄積は軽微であった。さらに各症例で, 血中濃度のばらつきも認めなかった。(5) TEICの高用量投与はその効果に抜群のキレがあり, しかも安全性の高いことが示され, 重症MRSA感染症の治療において非常に有用な投与法であると考えられた。
著者
野口 周作 望月 徹 吉田 奈央 上野 ひろむ
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.79-85, 2013 (Released:2013-06-05)
参考文献数
9

病院の感染制御において,薬剤耐性菌対策は重要な問題である.当院では2004年8月にInfection Control Team (ICT)が発足して以来,段階的に抗菌薬適正使用強化策を行った.その取り組みと効果について検討し,若干の知見を得た.2007年にオーダリングシステムと連動した特定抗菌薬使用届出制導入をはじめ,2010年より積極的に症例に関わる方法としてICT抗菌薬ラウンド導入に至るまで段階的に強化策を行った.その効果判定の指標として,カルバペネム系抗菌薬の使用量,投与日数,緑膿菌の感性率及び多剤耐性緑膿菌(MDRP)の年間検出件数を調査した.カルバペネム系抗菌薬の使用量は,1277バイアル(V)(2004年11月)から327V(2010年6月)に,平均投与日数は8.40日(2006年)から5.97日(2010年)に減少し,緑膿菌のmeropenemに対する感性率は72%(2008年)から90%(2011年)に回復した.MDRPの年間検出件数は28件(2008年)から1件(2011年)に減少した.段階的強化策を講じたことで,大きな問題なく医療従事者の抗菌薬適正使用に対する意識を高めることができ,緑膿菌の薬剤感受性の回復とMDRP検出件数の顕著な減少効果が表れたと考える.本結果を踏まえ,今後はより高い水準の抗菌薬適正使用と感染症治療支援に携わっていきたい.
著者
望月 徹
出版者
日本国際観光学会
雑誌
日本国際観光学会論文集 (ISSN:24332976)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.69-83, 2018 (Released:2019-06-12)
参考文献数
24
被引用文献数
1

In this study, which focuses on the migration of young people into the central area of Onomichi City, which symbolizes the energy of the city, we investigated (1) the whole scheme and mechanism of such migration, (2) the significance of building a human-scale city as successor of a commercial city with 850 years of prosperous history, tradition, and culture, and (3) modeling the migration mechanism in terms of laws concerning inheritance, promotion, and urban planning and the possibility of spreading this model to other regions. The findings of this study showed that young people had settled into the hilly area of Onomichi City, verifying the significance of building a human-scale city, that is, building a practical tourist-friendly destination that values migration and the everyday life of residents. Our findings also showed that the laws of inheritance, promotion, and urban planning are implemented in Kamiyama in Tokushima Prefecture, which has successfully attracted many satellite office projects, and in Sasayama City in Hyogo Prefecture, which is famous for the renovation of old houses, verifying the adaptability of the model. This suggests that the model can be introduced to other regions.