著者
藤森 大輔 本村 友一 山本 晃之 原 義明 西本 哲也 高橋 希 柄澤 智史 高橋 功
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.36.3_06, (Released:2022-03-30)
参考文献数
8

74歳男性. シートベルトを着用し軽乗用車運転中に意識を失い前方の車両に追突し, フロントエアバッグが作動した. ドクターヘリで当院へ搬送され, CT検査で胸骨骨折・内胸動脈損傷・多発腰椎圧迫骨折の診断となり, 経カテーテル的内胸動脈塞栓術を施行した. 入院後より経時的に血中CPK値が上昇し, 代謝性アシドーシスと高乳酸血症も進行した後, 心停止・自己心拍再開を経て腸管虚血に至り, 第4病日に死亡した. 経過中のCT検査より胸部大動脈原性の両下肢の筋梗塞を含む多発塞栓症が疑われた. 安全装置であるエアバッグとシートベルトによる鈍的胸部外傷に起因した二次的な大動脈原性塞栓症で広範な筋梗塞を認めた例は稀有であり報告する.
著者
織原 義明 鴨川 仁 長尾 年恭
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

現時点において、「確度の高い地震予知は困難」というのが科学的な見解である。しかし昨今では、民間による地震予知・予測情報が注目を集めている。そのなかには、例えば、国土地理院が観測・公開しているデータを用いていることから、一見すると科学的な手法による予知・予測と思われてしまうものもある。マグニチュード6以上の大きな地震を予測する場合であっても、数多くの警告を発していれば地震を的中させることができるであろう。そして、多くの場合、マスコミは地震を言い当てた事例だけを紹介するため、人々はその地震予知・予測が当たっていると信じてしまうのである。これは人々が誤った判断をしてしまう典型的なケースである。本発表では、巷にあふれる地震予知・予測情報に対して、一般の人々がどのように接すれば正しい判断ができるのか、地震予知・予測情報そのものと、それを宣伝するメディアの2つのリテラシーについて議論する。
著者
本村 友一 平林 篤志 久城 正紀 阪本 太吾 船木 裕 安松 比呂志 益子 一樹 八木 貴典 原 義明 横堀 將司
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.37.3_11, (Released:2023-06-28)
参考文献数
22

背景 我が国で外傷診療の質が経年的に評価された研究は少ない.対象と方法 2009-2019年に千葉県内で発生した交通事故による24時間以内死亡者のうち救急隊接触時に生命徴候が認められた患者 (patient with sign of life : SOL+) を対象とした. 警察, 消防および医療機関から経時的な情報が収集され, 事例検討会 (peer review) で各症例は「防ぎ得た外傷死Preventable Trauma Death : PTD」, 「PTDの可能性 (potentially-PTD : p-PTD) 」および「救命不能」に分類された.以下の仮説を検証した. (1) PTDとp-PTDの割合 (以下PTD率) は経年的に低下した (2) PTDとp-PTDで循環管理と止血術に問題がある (3) SOL+を多数受け入れている救命救急センターではPTD率が低い結果 対象785例のうち65例がPTD, 86例がp-PTDと判定された. 仮説(1)(2)(3)はいずれもその通りであった. (2)では70例 (46%) で循環管理/止血術に問題ありとされた.結語 千葉県の交通事故死亡事例においてPTD率は経年的に低下した. PTD/p-PTDの46%で初療室での循環管理/止血術に問題があった.
著者
織原 義明
出版者
おりはらよしあき事務所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

研究の目的)平成20年度科学研究費補助金(奨励研究)による地震予知意識調査で、山形県内の8割以上の中高生が地震前の動物異常行動を少なからず信じていることなどが明らかとなった。本研究では、地震前の動物異常行動などの宏観異常現象を人はなぜ信じるのか、その理由を探る。また、東日本大震災前の宏観異常現象について、三陸海岸における現地調査で証言を得る。さらに、教員を目指す大学生を対象に宏観異常現象や疑似科学に対する意識を調査し、その傾向を明らかにする。研究方法)インターネット上で宏観異常現象(動物異常行動・地震雲・電気製品の異常)に関して、なぜそれを信じるのかを尋ねるアンケート調査を実施した。三陸海岸では、東日本大震災前の宏観異常現象に関する聞き取り調査を実施した。また、教員を目指す大学生を対象に、宏観異常現象や疑似科学に対する意識についてアンケート調査を実施した。研究成果)インターネットによる調査では、動物異常行動・地震雲・電気製品の異常、いずれにおいても「必ずある」と答えた回答者は「あるかもしれない」の回答者より、自らの体験でそれを信じる傾向にあることなどがわかった。また、この3つのなかでは、動物異常行動を信じる割合が最も高く、次いで地震雲、電気製品の異常となった。この傾向は山形県の中高生調査の結果と同じであった。三陸海岸での聞き取り調査では、大船渡市におけるカラスの異常行動の証言や、昭和三陸大津波で異常があったと報告されている井戸で、東日本大震災の前に水位が下がっていた可能性などが明らかとなった。教員を目指す大学生へのアンケート調査では、心霊現象・超能力・血液型占いのいずれについても、肯定的に捉える学生より否定的に捉える学生が多かった。しかし、地震前の動物異常行動を少なからず信じる割合は8割以上であった。
著者
岡 芳明 村尾 良夫 星 蔦雄 尾本 彰 田畑 広明 水町 渉 守屋公 三明 久木 田豊 鈎孝 幸 牧原 義明 玉置 昌義
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.766-795, 1995
被引用文献数
1

21世紀に予想される後進国での電力需要の急上昇および各国での労働力不足に対処するため,国内外で省力化と人にわかりやすい技術に基づく次世代軽水炉を開発するプロジェクトが進められている。このような状況を踏まえて,次世代軽水炉の開発そして研究状況,そこに使用されている新しい要素技術についてまとめておくことは,会員に最新の情報を提供するという観点から有意義である。本稿では,次世代BWR, PWRおよび他の軽水炉の開発・研究状況および新要素技術について述べる。