- 著者
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朝倉 暢彦
乾 敏郎
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.22, 2017 (Released:2017-10-16)
意思決定の神経心理学的検査に用いられているアイオア・ギャンブル課題に対して,健常者が必ずしも最適な選択行動をとらないことが近年報告されている.本研究では,この課題の公開データベースに対してモデルベースのクラスタ分析を行い,健常者の特徴的な選択パターンを同定することを試みた.405名の実験参加者の課題終盤の選択パターンに対して混合多項分布を用いたクラスタ分析を行い,周辺完全尤度を用いた情報量基準で最適なクラスタ数を決定したところ,12個の選択パターンが同定された.その中で選択肢のもつ長期的な利益に基づいた選択パターンを示すのは全体の25%程度に過ぎず,半数以上が損失の頻度の低い選択肢を選好する選択パターンであった.さらに,その後者の選択パターンは,期待効用の最大化による合理的決定方略ではなく,各選択肢から得られる報酬確率に基づいた確率マッチングの方略に対応するものであることが明らかとなった.