著者
前川 亮 乾 敏郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.15-24, 2019-02-28 (Released:2019-03-21)
参考文献数
56

われわれは普段,無意識に他者の動作を模倣している.さらに,他者に模倣されることで相手によりよい印象を持つことが知られている.この被模倣による印象の向上効果は,手や足の動き,表情の変化,また瞳孔径の同期などで起きることが確認されている.一方,瞬目は映画鑑賞時やスピーチを聴くときに鑑賞者の間で同期することが知られており,瞬目においても模倣が生じることが推測されるが,実際に瞬目の模倣や被模倣の影響は調べられていない.そこで本研究では,他者の瞬目を模倣しているかどうか,そして瞬目の被模倣が模倣者の印象を改善するかどうかを調べた.実験では,ランダムに瞬目する画像を呈示し,画像の瞬目に対して参加者の模倣が生じるかどうかを解析した.また,参加者の瞬目に同期して瞬目する画像を呈示し,瞬目の被模倣が画像の印象に与える影響を調べた.結果,参加者は無意識に画像の瞬目と同期して瞬目をしており,さらに,参加者の瞬目を模倣した画像がより好感度が高いことがわかった.
著者
前川 亮 成山 雄也 朝倉 暢彦 乾 敏郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.20, 2017 (Released:2017-10-16)

他者感情の推定時に自分の中に相手と同じ感情を生じ、感情を共有することで行う感情推定を共感的な感情理解という。この共感感情の生起を、ミラーニューロンの働きによって生じる身体状態の模倣によって説明する試みがなされているが、まだ十分な証拠は得られていない。本研究では特に共感性の個人差に着目し、共感性の高低が模倣的な身体状態の変化に及ぼす影響を検討した。実験参加者は感情推定課題を行い、その際の表情筋活動・心拍・発汗・皮膚温を記録した。さらに質問紙によって共感性を評価し、身体状態の変化と比較した。その結果、共感性の高い群では模倣的な身体状態の変化がほとんど見られなかったのに対し、共感性の低い群では感情推定値と身体状態の間に相関関係がみられた。この結果は、ミラーニューロンの働きが社会的文脈によって抑制されるという知見と一貫しており、共感性の高い参加者はより抑制制御に優れていると考えられる。
著者
竹内 康 久保 和幸 西澤 辰男 姫野 賢治 松井 邦人 丸山 暉彦 前川 亮太 神谷 恵三
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高速で移動しながら連続的にたわみを計測する試験機は, 各国で開発が進められており,それを用いて舗装の支持性能を評価した結果は,舗装の維持管理に活用されつつある。 このような試験機の開発にあたり, 高速で移動する車両により計測されるたわみの特性を把握することを目的として,既存の車両に変位計を取り付け,いくつかの試験路において連続たわみの測定を行った。また,収集したデータを用いて舗装の健全性を評価する方法について検討を行った. 本研究では, 載荷位置直下のたわみと載荷位置から 45cm 離れた位置のたわみの差を用いて,舗装表面付近の健全性を評価する方法を提案し,比較的たわみの大きい健全な舗装に対して FWD 試験で得られるたわみと相関の高い結果が得られることを確認した。