- 著者
-
笹岡 貴史
乾 敏郎
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第10回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.18, 2012 (Released:2012-07-20)
物体の未知の見えを推測する心的イメージ変換は,物体を心的に回転することでも,異なる視点に移動するイメージを作ること(視点変換)でも可能である.しかし,それらの神経基盤に違いがあるかは不明である.そこで,本研究では心的回転/視点変換課題中の実験協力者の脳活動をfMRIによって計測した.課題ではCGで作られた部屋に物体が置かれた画像に続いて,物体を見ながら自分自身が移動する,または物体が回転する動画が呈示された.途中で物体が消去されるが,その間も実験協力者は同じ速度で視点移動する,または物体が回転するイメージを作り,後に呈示された物体の見えと比較照合を行った.視点変換,心的回転中の脳活動を比較すると,前者で左楔部,小脳,後者で補足運動野に活動が見られた.この結果に基づき,視点変換・心的回転に関わる脳内基盤について視点変換と心的回転の二重乖離に関する神経心理学的知見と関連づけて議論を行う.