- 著者
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重松 敏則
朝廣 和夫
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
過疎により閉校となった、福岡県八女郡黒木町の笠原東小学校を事例として、自然体験や農山村生活の体験、農林作業体験、ならびに、地域資源を活用した循環型共生生活を実体験する、滞在型環境教育の拠点として活用することを意図し、地域社会および都市域の教育機関やNPO等と連携した拠点形成プログラムの開発と、その過程のビデオ記録等による情報発信システムの制作を目的に行った。まず、地域の自然資源を活用した環境共生施設として、五右衛門風呂およびオガクズ・バイオトイレを建築廃材や間伐材を活用して設置するとともに、薪ストーブの設置、ならびに、グリーンファンドの助成による太陽光発電パネルおよび小型風力発電機を設置した。教室を宿泊室、家庭科室を炊事室、職員室を食堂兼交流談話室等として活用し、以上の環境共生施設を使用する2泊3日の農林体験プログラムを、小・中・高校生、ならびに、大学生、社会人を被験者として、計8回実施した。農林体験メニューとして、・スギ・ヒノキ林の間伐と枝打ち、竹林の伐採と竹細工、稲刈りや菜種の播種、苗の定植等を用意して行った。これらの体験プログラムの前後にアンケート調査を実施するとともに、写真やビデオカメラで撮影記録した。調査・分析の結果、1.里山や棚田に囲まれた木造の廃小学校は、地元住民の協力を得られやすいことからも、環境共生教育の拠点として打ってつけであること、2.小・中・高校生や大学生、社会人ともに、2泊3日の農林体験合宿を楽しんだこと、3.同世代だけよりも、異世代が混合して参加するほうが好評で、作業能率も高まったこと、4.ほとんど全ての被験者が、参加したことや農林体験をしたことに満足し、充実感を得ていること、5.機会があれば再度参加したいと希望していること、さらに、6.参加体験することによって、農山村や農林業に対する興味や理解を深めていることが明らかとなった。また、7.航空写真の解析と現地調査により、研究対象地で活用できる森林・農地等の地域資源の評価と分布を明らかにした。以上の成果に基づき、農山村の地域資源を活用した環境共生教育に関する拠点形成プログラムを策定するとともに、撮影記録の編集によるDVDへの録画と、ホームページの開設による情報提供のシステムを構築した。