著者
松本 芳之 木島 恒一
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.111-123, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

本研究の目的は, 大学の卒業予定者男子314名, 女子95名の就職活動に関する報告記述を内容分析することで, 自己呈示の戦略目標を同定することにある。予備分析で得た9個のカテゴリー (意欲, 自尊心, 自発的活動, 事前準備, 自己統制, 率直さ, 自己説明, 積極的応答, 運) を用いた内容分析の得点を対応分析で要約した後, 個々の記述をクラスタ分析した。その結果, 3つの異なる自己呈示の戦略目標が存在することが示唆された。すなわち, 応募者は, 採用側の要求に見合うだけの有能さを印象づけるか, 面接場面を巧みに処理できる積極さを印象づけるか, 自らの現状を率直に述べることのできる誠実さを印象づけるかという, 異なる目標に従って自己呈示するのである。応募者は, 面接者にこれらの望ましいイメージを与えるために, 一連の行動を選択し, 実行すると考えられるのである。最後に, それぞれの戦略の意味と今後の検討課題を考察した。
著者
岡部 康成 木島 恒一 佐藤 徳 山下 雅子 丹治 哲雄
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.145-151, 2004-12-01

Until recently, the measurement of attitudes and beliefs has been limited to self-report questionnaires. The use of such measure unrealistically assumes that all the participants have both the ability and the motivation to report their attitudes and beliefs accurately. Recently, Greenwald, McGhee, and Schwartz (1998) developed the implicit association test (IAT) to overcome such limits inherent in self-report measures by examining attitudes and beliefs that lie outside conscious awareness and control. In the present study, we assessed implicit attitudes towards the supernatural power using two versions of IAT; the commonly used personal computer (PC) version and the recently developed paper and pencil version. Thirty-six undergraduates participated. Participants equally demonstrated negative attitudes towards supernatural power in either version. Moreover, the implicit attitudes indexes in the paper and pencil version were highly correlated with those in the PC version. These results suggest that the paper and pencil version of IAT can stand up to the use as more convenient method.\n本研究は、青少年の持つ非合理現象信奉の一つである超能力信奉傾向について測定する潜在連合テスト(IAT)の開発を主な目的としている。IATとは、近年、グリンワルドらによって提唱された質問紙法とは異なる方法によって認知構造を測定する技法である。一般的にはパーソナル・コンピュータを用いて測定が行われるが、紙筆版による測定も可能である。紙筆版IATは一度に大量のデータを収集する場合などにには有効な方法と考えられる。我々は青少年の超能力信奉について測定するIATの開発過程で、一般的なPC版IATと紙筆版IATを作成し、紙筆版IATの妥当性についても併せて検討してみた。今回の報告では、PC版及び紙筆版IATの結果からみた大学生の超能力信奉傾向について、また、今回作成した紙筆版IATの妥当性について報告する。
著者
松本 芳之 木島 恒一
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.111-123, 2002
被引用文献数
2

本研究の目的は, 大学の卒業予定者男子314名, 女子95名の就職活動に関する報告記述を内容分析することで, 自己呈示の戦略目標を同定することにある。予備分析で得た9個のカテゴリー (意欲, 自尊心, 自発的活動, 事前準備, 自己統制, 率直さ, 自己説明, 積極的応答, 運) を用いた内容分析の得点を対応分析で要約した後, 個々の記述をクラスタ分析した。その結果, 3つの異なる自己呈示の戦略目標が存在することが示唆された。すなわち, 応募者は, 採用側の要求に見合うだけの有能さを印象づけるか, 面接場面を巧みに処理できる積極さを印象づけるか, 自らの現状を率直に述べることのできる誠実さを印象づけるかという, 異なる目標に従って自己呈示するのである。応募者は, 面接者にこれらの望ましいイメージを与えるために, 一連の行動を選択し, 実行すると考えられるのである。最後に, それぞれの戦略の意味と今後の検討課題を考察した。