- 著者
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木成 勇介
黒川 博文
大竹 文雄
- 出版者
- 行動経済学会
- 雑誌
- 行動経済学 (ISSN:21853568)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.Special_issue, pp.S9-S11, 2017 (Released:2018-04-12)
- 参考文献数
- 4
本研究は,個人の成績にのみ依存して報酬が決定する歩合制と他の被験者の成績にも依存して報酬が決定するトーナメント制のどちらを好むかに関する経済実験中の被験者に,間接的に各被験者の相対的な成績に関する情報を伝達することで感情を惹起させ,感情が意思決定及び意思決定の個々の要因に与える影響について考察する.分析の結果,情報を与えられたグループはそうでないグループと比較して,怒りや嫉妬などで表現される負の感情が自身の予想順位に関する分散を低く見積もらせることがわかった.しかし,総じて,情報を与えられたグループにのみ感情が強く作用するという結果は得られず,両グループともに喜びや興奮で表現される正の感情が歩合制よりもトーナメント制での報酬を選択する確率を高めることを発見した.これは,正の感情が期待利得を高く評価させる,楽観性バイアスを発生させる,リスク許容度を高めることから生じている.