著者
フォード・丹羽 順子 小林 典子 木戸 光子 松本 哲洋
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センタ-日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-12, 2000

既存の中上級者向け日本語教材の多くは、読解を中心にした総合教科書や、4技能の養成を主眼とした教材である。これらの教材は、文法シラバスに基づいたものではないために、文法に関しては、偶然その中に出てきた表現(および関連表現)を取り上げるというやり方になっている。日本語を母語としない学習者には、このような教材だけではなく、基本的構造に関わる文法を体系的に教える文法の教科書も必要だと考える。本稿は、なぜその文法形式を使って頭の中にある概念を言語化するのかという「構文動機」を、日本語教育のための文法記述の中に示すことを提案する。
著者
木戸 光子
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-21, 1998-02-20

新聞5 紙(朝日,産経,日経,毎日,読売)に1994 年春に掲載された日米台青少年意識調査アンケート結果の報道記事について,言語形式上の特徴と配列の2 つの観点から文章構造の分析を通して,文章構造の違いが生じる要因を探った。新聞記事は一般に構成が決まっていると言われるが,5 つの文章を分析した結果,文章構造の型は頭括型・双括型・散括型・尾括型のうちいくつかの可能性があり,また,同じ頭括型でも文章の展開の様相は異なることがわかった。さらに,文章の総括には内容語的な総括と機能語的な総括があること,意味内容の構造と文脈の切れ続きの構造が必ずしも一致するとは限らないことを指摘した。Based on an analysis of the discourse markers and the ordering of topics and comments used in five newspaper reports on a survey of high school students'attitudes in Japan, the United States and Taiwan. I demonstrate that these reports do nat have a common structure. The structure of each report was unified by one or two of the following discourse parts; 1) initial part, 2) final part, 3) initial and final part, 4) other parts. I show that the flow of discourse may often vary even among reports with the same discourse structure. I observe that the unification of discourse structure is determined by the content or function of the final sentence, and that the discourse structure indicated by discourse markers does not always match the ordering of the content structure of the report.
著者
木戸 光子 長能 宏子 山崎 由喜代 渡辺 恵子
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センタ-日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.17, pp.95-113, 2002

本稿では、2000年度予備教育日本語コースにおける、教科書とは別の会話の練習を目指した試みについて報告する。まず、過去4年間の同じような試みについて簡単にふれる。次に、2000年度の試みについて、事例をあげて詳しく述べる。さらに、この試みに対する学生による評価の資料から、問題点を指摘する。また、ボランティアの参加の位置付けについて考察し、最後に今後の展望を示す。