著者
千葉 理恵 木戸 芳史 宮本 有紀 川上 憲人
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.127-138, 2012 (Released:2012-08-09)
参考文献数
63
被引用文献数
2

目的:わが国の地域住民が,精神障害をもつ人々とよりよく共生するために,居住地域や自身にどのようなことが不足していると考えているかを質的に明らかにすることを目的とした。方法:東京都内の20市区町村を対象地域として,各市区町村の選挙人名簿および住民基本台帳から100名ずつを単純無作為抽出し,20歳以上の地域住民2000名を対象として,2009年9~11月に郵送により自記式調査票の横断調査を行った。調査票には,2つの質的質問項目「住民の皆さんと精神障害をお持ちの方が,共に心地よく暮らすために,あなたの住んでいる地域には(/住民であるあなた自身には)何が不足していると思いますか」や,性別,年齢などの項目を含めた。1つ以上の質的質問項目に有効回答のあった274名(平均年齢48.6歳;男性44.2%)を分析対象者として,ベレルソンの手法に基づく内容分析を行った。結果・考察:質的質問項目の回答には,精神疾患についての知識や理解,精神障害をもつ人々との交流,地域住民同士の交流に関する回答など多彩な内容が含まれた。精神障害についての知識を深めるための地域住民のニーズに合うような教育の機会や,精神障害をもつ人々との交流の機会の提供,広い意味での住民の交流・連帯への介入によってスティグマにどのような影響があるかを明らかにすることが,精神障害をもつ人々のソーシャル・インクルージョンを促進していく上で重要であることが示唆された。
著者
萱間 真美 木下 康仁 小松 浩子 グレッグ 美鈴 麻原 きよみ 青木 裕見 高妻 美樹 福島 鏡 青本 さとみ 根本 友見 石井 歩 松井 芽衣子 瀬戸屋 希 野中 幸子 海老原 樹恵 早坂 弘子 前田 紗奈 三河 聡子 木戸 芳史 佐々木 美麗 山田 蕗子 古賀 郁衣 奥 裕美 三浦 友理子 松谷 美和子
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

質的研究方法は、医療を受ける人や携わる人の経験を当事者の言葉を生かして説明することができる可能性を持つ。統計を用いた量的な研究と比べると経験者が少なく、論文を出版する際に査読ができる査読者や、この方法を理解している編集委員も少ない。よい論文を出版することができるためには、論文の出版に携わる人たちへのガイドラインの提供が必要である。本研究は海外での調査、研修や国内でのセミナー開催を通じてこの課題に取り組んだ。多くの査読委員、編集委員が研修に参加し、知識を共有することができた。