著者
小松 浩子
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.175, 2018-04-15

本書の発刊を知り,すぐに頭に浮かんだ言葉は,「待っていました!」です。すでに,研究室の本棚には多変量解析に関するテキストブックが複数並んでいますが,どれもきれいなままで,複雑な数式やピンと来ない例題にギブアップした形跡があります。本書は看護研究を学ぶものにとって,かゆいところに手の届く格好のテキストブックといえます。私のお気に入りの点を挙げながら,特徴を紹介します。 第1は,看護研究のもどかしさを紐解く統計手法を,わかりやすく解説している点です。統計学のイロハといえるデータ,変数,仮説,分布といった統計学の基本的知識を,看護研究の観点からわかりやすく積み上げ式で学べます。長年,看護学生や看護研究者に統計学を教えている著者だからこその解説,例示が満載です。難しい統計学が「わかった!」となっていくので,どんどん読み進めることができます。
著者
鈴木 久美 大畑 美里 林 直子 府川 晃子 大坂 和可子 池口 佳子 小松 浩子
出版者
一般社団法人 日本がん看護学会
雑誌
日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.32_suzuki_20171120, 2018-01-01 (Released:2018-02-09)
参考文献数
23

要 旨 目的:本研究の目的は,乳がんおよび乳房自己検診,マンモグラフィ検診に対する健康信念を高めて行動変容を促進するために,乳がん早期発見のための乳房セルフケアを促す教育プログラムを実施し,その効果を明らかにすることとした.方法:対照群を置かない前後比較の介入研究デザインを用いた.20 歳以上で乳がん既往のない女性42 名を対象に,教育プログラムを乳がん体験者と協働のもと実施した.介入効果の検討は,定期的乳房自己検診およびマンモグラフィ検診の実施状況,日本版Champion Health Belief Model Scale(CHBMS)を用いて,介入前後で評価した.結果:対象は,平均年齢50.6 歳(SD=11.5)で,有職者が59.5%,乳腺疾患のある者が16.7%だった.定期的乳房自己検診実施率は,介入前21.4%に比べ介入後1 年で54.8%(χ2 値=9.389, p=0.002,効果量w=0.602)と有意に高かった.マンモグラフィ検診受診率でも,介入前23.8%に比べ介入後1 年で47.6%(χ2 値=8.100, p=0.004,効果量w=0.569)と有意に高かった.日本版CHBMS の「乳房自己検診の自己効力感」は,介入前後で有意差が認められ(F 値=34.080, p<0.001,効果量f=0.586),介入前よりも介入後1 カ月,6 カ月,1 年で得点が有意に高かった.また,90%以上の者が,プログラムを満足かつ有用と評価し,内容や方法も適切であると回答した.結論:本プログラムは,対象者の「乳房自己検診の自己効力感」を高め,乳房自己検診,マンモグラフィ検診への動機づけを強化し,定期的乳房自己検診実施率およびマンモグラフィ検診受診率を高める効果があることが示された.
著者
萱間 真美 木下 康仁 小松 浩子 グレッグ 美鈴 麻原 きよみ 青木 裕見 高妻 美樹 福島 鏡 青本 さとみ 根本 友見 石井 歩 松井 芽衣子 瀬戸屋 希 野中 幸子 海老原 樹恵 早坂 弘子 前田 紗奈 三河 聡子 木戸 芳史 佐々木 美麗 山田 蕗子 古賀 郁衣 奥 裕美 三浦 友理子 松谷 美和子
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

質的研究方法は、医療を受ける人や携わる人の経験を当事者の言葉を生かして説明することができる可能性を持つ。統計を用いた量的な研究と比べると経験者が少なく、論文を出版する際に査読ができる査読者や、この方法を理解している編集委員も少ない。よい論文を出版することができるためには、論文の出版に携わる人たちへのガイドラインの提供が必要である。本研究は海外での調査、研修や国内でのセミナー開催を通じてこの課題に取り組んだ。多くの査読委員、編集委員が研修に参加し、知識を共有することができた。
著者
小松 浩子 鈴木 久美 林 直子 村上 好恵 松崎 直子 冨田 美和 市川 和可子 外崎 明子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.61-67, 2006-06-20

本報告の目的は,21世紀COEプログラム事業の一環として継続的に実施している国際駅伝シンポジウムのうち,2005年10月に開催された第4回「私たちが選ぶ時代に向けて:患者中心の乳がんチーム医療」の企画・実施過程および評価を報告し,それらを通じてみえてきたPeople-Centered Careを生成するうえでの重要な要素について提示し,今後の課題を検討することである。方法は,シンポジウムの企画,実施,評価の全過程で記述した議事録や講演・討議内容,参加者のアンケート内容を資料とし,質的データは内容分析を,量的データは記述統計を行った。シンポジウムは,乳がん体験者と共に構成や内容,方法を検討し企画した。プログラムは,(1)参加者の医療ニーズを共に知ることをめざしたクイズ,(2)米国のチーム医療から学びをうる講演,(3)共にめざす乳がんチーム医療について広い視点から討議することをめざしたシンポジウム,(4)参加者と共に音とことばのメッセージを分かちあう詩の朗読と音楽演奏,そして(5)ピンクリボンにちなんだシンボルキルトの作成で構成された。その結果,参加者のニーズとテーマの合致性,シンポジウム成果の政策提言,有用性などシンポジウムの評価は全体的に高かった。そして,シンポジウムを通して,患者と医療者が互いに学び,歩み寄り,協働して医療に取り組む姿勢が重要であるといった,新しいチーム医療の方向性やあり方が示された。
著者
有森 直子 小松 浩子 長江 弘子 太田 加代 横山 由美 川越 博美
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.84-89, 2005-06-20

本稿の目的は,People-Centered Careというテーマをシンポジウムという形態で企画・運営から実施まで試みた市民と医療者の「協働」のプロセスおよびその企画担当者(医療者)の経験内容を帰納的に記述することである。方法は,駅伝シンポジウム企画運営委員会の議事録・配布資料をデータとして,企画運営のプロセスおよび,医療者と市民の協働について内容分析を行った。結果は,企画のための会議は15回(計28時間)もたれた。医療者が市民と「協働」することの模索におけるスタートの段階では,いかにしてこの活動(シンポジウム)を広報するか(プロモーション)に力点がおかれロゴおよびキャッチコピーの作成などがなされた。またボランティアとともにシンボルキルトの作成をシンポジウムの開催期間に行った。各シンポジウムにおいては,前回のシンポジウムの改善点を次回に生かして,プログラムの工夫がなされた。People-CenteredCareを基盤とした市民との協働における一連のプロセスにおいて医療者の企画担当者は,(1)メインテーマの再確認,(2)「市民を巻き込む」方略の模索,(3)市民に対してわかりやすく説明する努力,(4)People-Centered Careとシンポジウムの目標の再検討,(5)シンポジウムの成果の発信方法の検討,(6)医療者が市民から「教わる」経験をしていた。シンポジウムは第1回「あなたはどこで最期を迎えたいですか」,第2回「考えよう!医療と看護-あなたも医療チームの一員-」,第3回「自分で決めた生き方を実践するために」をテーマに開催された。160〜320名の参加者があり,その4割は医療職であった。性別は,8割が女性であった。評価項目の(1)テーマとニーズの合致性,(2)シンポジウムの政策提言性,(3)国際的情報発信の適正については外部評価者(有識者)よりも参加者の評価のほうが高かった。
著者
鈴木 久美 小松 浩子 林 直子 片岡 弥恵子 樺澤 三奈子 大坂 和可子 大畑 美里 池口 佳子 大林 薫
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、乳がん検診受診率の向上をめざし、同意の得られた成人女性33人を対象に乳房セルフケア促進プログラムを実施し、妥当性を評価した。その結果、介入前に比べ介入後1年で、40歳以上の定期的マンモグラフィ受診者は26.1%から60.9%(p=0.008)、30歳以上の定期的自己検診実施者は21.2%から57.6%(p=0.004)と有意に改善した。また、85%以上の参加者は、プログラムに対して満足かつ有用と回答した。以上の結果から本プログラムは妥当であると考えられた。
著者
中山 和弘 有森 直子 小松 浩子 藤井 徹也 高山 智子 石川 ひろの 佐居 由美 的場 智子 宇城 令 戸ヶ里 泰典
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

Webの情報に翻弄されず、むしろその情報をより活用できるために、患者・家族・国民のヘルスリテラシーの向上を支援するWebサイト(『健康を決める力』(http://www.healthliteracy.jp/)を作成・公開・評価した。コンテンツは次の6つの内容でできている。1.健康のためには情報に基づく意思決定を、2.「信頼できる情報」とは何か、3.知りたい情報はインターネットで、4.コミュニケーションと意思決定、5.健康を決めるのは専門家から市民へ、6.健康を決めるために市民が出来ること、である。