著者
馬場 健司 木村 宰 鈴木 達治郎
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.68-77, 2004
被引用文献数
4

近年急速に導入が拡大している風力発電の立地, 大規模ウィンドファームの開発については, いくつかの公益を巡ってコンフリクトが発生するケースがしばしばみられる. 立地プロセスにおけるアクターの参加の場や意思決定手続きについて, 文献調査とヒアリング調査により日米のケースを比較した結果, 以下が明らかとなった. 日本では自然公園での立地ケースについては公式プロセスの中で景観に限定したアジェンダが設定されるのみであるのに対して, 制度要求に基づく環境影響評価が適用された米国の洋上立地ケースでは, 第三者的専門家による非公式プロセスが補完しながら, そこで得たインプットが公式プロセスへとフィードバックされるなど, 事業の早い段階から幅広い参加の場とアジェンダが設定されている.
著者
陳 奕均 城山 英明 杉山 昌広 青木 一益 木村 宰 森 晶寿 太田 響子 松浦 正浩 松尾 真紀子
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-11, 2022-09-30 (Released:2022-11-04)
参考文献数
49

本稿では,近年,海外で急速に発展してきた持続可能性移行(サステナビリティ・トランジション)という研究分野に着眼し,当該分野における主な理論的枠組みである戦略的ニッチ・マネジメント論(SNM),重層的視座(MLP),トランジション・マネジメント論(TM)とその研究動向をまとめた.関連した概念を明確にしたうえ,日本の研究機関による事例研究への応用例を紹介し,日本の文脈を踏まえた今後の研究課題を提示する.
著者
馬場 健司 木村 宰 鈴木 達治郎
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
no.3, pp.241-258, 2005
被引用文献数
3 3

近年急速に導入が進んでいる大規模風力発電所(ウィンドファーム)の立地に際して,しばしば環境論争が発生している.文献調査とヒアリング調査により,全国的な論争の推移とそのパターンを分析し,その中からプロセスと結果において対照的であった2つのケースを対象とした詳細な比較分析を行った結果,以下が明らかとなった.制度に基づく公式プロセスにおける課題設定は,制度そのものの性格,非公式プロセスで得た情報,当該課題の公共性・公益性の定義に影響されている.論争の主な要因は,環境影響評価法の対象外となっていること,地域の野鳥・野生生物の生態系に係わる情報や認識の不足である.今後の社会意思決定プロセスとしては,戦略的環境アセスメントによる中央と地方の相互補完的な多層レベルの制度化や,総論と各論というように段階的に論点を配分する参加型手法の適用などが考えられる.