著者
木村 明憲 黒上 晴夫
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46017, (Released:2022-08-12)
参考文献数
4

本研究では,児童が自己調整スキルを発揮しながら主体的に学びを進めることができる方策として,学習計画表であるレギュレイトフォームを開発した.レギュレイトフォームには,「本時の目標」と「振り返り」を記述する枠を設けている.これらの枠に記述された事柄を自己調整スキルの下位項目である「適用スキル」「目標設定スキル」「自己評価スキル」「帰属スキル」と対応付けて分析したところ,本フォームが児童の自己調整スキルの育成を促すことに一定の効果が確認されたとともに,本フォームを活用する際の指導・支援のあり方が明らかになった.
著者
木村 明憲 黒上 晴夫
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.133-150, 2021 (Released:2021-05-08)
参考文献数
21

本研究では,小学校社会科の6年生の歴史学習で,自己調整的な学習を行いながら,歴史に関わる知識の習得を保証し,情報活用能力を身につけられる学習過程モデルを開発した。そして,その効果を検証するために,①単元の最後に実施した単元テストについての調査,②単元の導入時に指導者が示した重要語句(小学校学習指導要領解説社会科編の内容の取り扱いで示されている指導事項及び,第一筆者がその時代の歴史を学習する上で必要であると判断した語句)が,単元の終盤に作成する連続資料(児童が収集した情報を整理,分析し,単元の最後に表現,創造した文書資料を連続資料と示す)で説明された割合についての調査,③児童が作成した連続資料のルーブリック評価による調査,の3つの調査から分析を試みた。その結果,本学習過程モデルで授業実践を行うことで,知識の習得については問題がないこと,情報活用能力の収集力,整理力,分析力,表現力,創造力が身につくことが示唆された。
著者
木村 明憲
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46105, (Released:2023-03-07)
参考文献数
25

近年,教員養成コースに,情報リテラシーを育成するための科目が設置されるようになっている.そこでは,情報活用の指導力を育成することが求められている.また,大学の授業では,アクティブ・ラーニングに基づいた学修を行うことも求められている.これらの目的を達成するため,1年次に履修する「情報リテラシー1,2」において,スチューデント・エージェンシー(以下,エージェンシー)を考慮したアクティブ・ラーニング型のシラバスおよび授業設計案を開発し,実施した.本研究では,「情報リテラシー1,2(通年)」の前期,中期,後期の3回にわたって,ICT 活用指導力に関する意識を調査した.加えて,授業に関わるエージェンシーを年度末に調べた.それらを基に,意識の変容とエージェンシーの実態が明らかになり,それらの相関が算出された.結果,ICT 活用指導力についての意識は,年間を通して高まることが明らかになり,また,一定程度の相関が見られた.
著者
木村 明憲 黒上 晴夫
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46005, (Released:2022-06-30)
参考文献数
8

本研究では,はじめに児童が自己調整スキルを発揮し,創造物を主体的に評価・分析,改善するための学習の流れを考案した(Self-reflection モデル).そして,考案したモデルの学習プロセスに沿って授業実践を行ったことが,自己調整スキルを発揮して学ぶことに対して効果的であったかについて検証した.本モデルの効果を検証するにあたり,フィードバック結果から得た改善案と完成した創造物の修正箇所(以下修正事項)の関連を,本モデルの学習プロセスと対応づけて分析した.その結果,児童が自己調整スキルを発揮しながら創造物を評価・分析し,改善する上で効果的な学習モデルを開発するに至った.
著者
木村 明憲 高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.25-36, 2016

家庭での自主学習において,児童が情報活用の実践力の育成を意図した学習支援カードを活用した.自主学習における学習支援カードの活用の状況,効果について, 1年間の調査結果を分析した.学習支援カードの活用状況について,児童が自主学習を行うノートに学習支援カードの領域及び項目の名称が記述されていた場合に,記述されている領域及び項目をカウントし,一人あたりの年間記述数の平均値を求めたところ135.4回であった.これは,年間の自主学習の実施回数の平均である111.2回を超えており,毎回のように学習支援カードが用いられたと考えられる.特に「まとめる」「集める」領域に関連する活動が多く行われた.また,児童の感想やノートの記述から児童の情報活用の実践力に高まりが見られた.こういった学習活動が年間を通して繰り返し行われたことによる効果であると考えられた.