著者
木村 透
出版者
大阪癌研究会
雑誌
癌と人
巻号頁・発行日
vol.29, pp.34-35, 2002-03-31
著者
宇佐美 清英 徳元 一樹 猪野 正志 小澤 恭子 木村 透 中村 重信
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.516-520, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

症例は80歳の男性.頸部回旋後に後頸部痛,右上下肢の麻痺,しびれ感,顔面の感覚鈍麻,喋りづらさがあり,当初,原因として椎骨動脈解離による脳梗塞が強く疑われた.しかし,発症14時間後の頭部MRIで責任病巣を認めず,「顔面の感覚鈍麻」と「喋りづらさ」を神経脱落徴候ではないと判断し,頸髄レベルの病変を疑い,頸部MRIで頸髄硬膜外血腫と診断した.顔面感覚鈍麻の訴えは変動し信頼性に乏しく,喋りづらさは口腔内乾燥によるものであった.脳卒中の疑われる患者が頭痛・頸部痛を訴える場合,稀だが治療が全く異なる頸髄・頸胸髄硬膜外血腫の可能性も念頭におきつつ,正確な神経学的部位診断・鑑別を心がけるべきである.
著者
仲野 徹 木村 透
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

PGC7/Stellaは、初期胚、始原生殖細胞、卵細胞で特異的に発現し、受精後に細胞内局在が細胞質から核へと変化する。また、遺伝子改変マウスを用いた解析から、PGC7/Stellaは、卵子に存在する初期発生に必要な「母性因子」であることが明らかにされている。我々は、PGC7/Stellaの機能を解析するために、結合因子の探索を行い、タンパク質の核内輸送に関与するRanBP5(Rallbinding protein 5)を同定した。培養細胞を用いた実験から、RanBP5はPGC7/Stellaの核移行を促進することが明らかになった。次に、RanBPSとエストロゲン受容体のリガンド結合ドメインを融合させることにより、核に移行することができない細胞質局在型RanBP5を作製した。細胞質局在型RanBPSを受精卵に発現させると、PGC7/Stellaの核移行を阻害しただけではなく、PGC7/Stellaを欠損する卵子とほぼ同様の発生異常を示した。この発生異常は、核局在型PGC7/Stellaを同時に発現させることにより正常化することができた。PGC7/Stellaが受精直後の核内で機能することから、受精卵おけるゲノムのメチル化状態を検討した。その結果、PGC7/Stella欠損の受精卵において、DNA複製が開始される前に雌性ゲノムの脱メチル化が生じていることが明らかとなった。また、PGC7/Stella欠損の受精卵において、いくつかのインプリント遺伝子のメチル化が低下していた。以上のことから、PGC7/Stellaは受精卵におけるエピジェネティック不均等性の成立および初期発生におけるインプリントの維持という、ゲノムの不均等性維持に重要な機能を有することが明らかとなった。