著者
木田 春代 武田 文 門間 貴史 朴峠 周子 浅沼 徹 藤原 愛子 香田 泰子
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.3-14, 2015
被引用文献数
2

Objective : This study investigates whether the working status of mothers results in an unbalanced diet (no acceptance of disliked foods) of their preschool children, and the relationship of the preschool children's unbalanced diet and its relevant factors.<br>Methods : This cross-sectional study was conducted using the responses of 1,145 mothers at 15 public kindergartens in a suburban city located in the Kanto region. A self-rating questionnaire examined mother's age and working, child's age and gender, the unbalanced diet of mother and their child, and eating education provided to child.<br>Results : The unbalanced diet of children were not associated with the working status of their mothers. Among non-working mothers, the causal factors of the unbalanced diet of their children were classified as the unbalanced diet of the mother, neglecting to instruct child not to waste food, not giving to child's meal child disagreeable foods or weak foods. Among working mothers, not engaging their child to help in the preparation of meals was the most prominent cause of children's diet unbalances.<br>Conclusion : It was suggested that although the working status of mothers has no direct effect on the unbalanced diet of their childrens, differences in the factors relating to the unbalanced diet of their childrens depend on whether the mother is employed or unemployed.
著者
木田 春代 武田 文 荒川 義人
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.20-28, 2016
被引用文献数
1

【目的】幼児の偏食の改善に向け,幼稚園における野菜栽培の有効性を明らかにする。<br>【方法】北海道某市内5幼稚園に通う年少児379人を対象に,野菜栽培活動を実施する3園(241人)を実施群,実施しない2園(138人)を非実施群として,10か月間の縦断調査を実施した。栽培野菜はトマトであり,栽培前,収穫後,収穫後6か月(フォローアップ)の3時点において,母親が無記名自記式質問紙に回答した。主要評価項目として偏食,副次評価項目としてトマトに対する嗜好,食に対する興味・関心を設定し,各群において経時変化を観察するとともに,収穫後およびフォローアップの各時点において,偏食を改善した者の割合の群間比較を行った。<br>【結果】実施群では,偏食しない幼児が栽培前に比べて収穫後,フォローアップにおいて有意に増加した一方,非実施群では有意な変化は見られなかった。また,フォローアップにおいて実施群は非実施群よりも偏食を改善した幼児の割合が有意に高かった。さらに,実施群ではトマトが好きな幼児,「野菜について知っていることを楽しそうに話す」幼児,「食べ物を残すことは『もったいない』という」幼児が栽培前に比べて収穫後やフォローアップにおいて有意に増加した。一方,非実施群ではいずれの項目も有意な変化はみられなかった。<br>【結論】幼稚園におけるトマトを用いた野菜栽培は,幼児の偏食に良い影響をもたらす可能性が示唆された。
著者
木田 春代 武田 文 朴峠 周子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-119, 2012-02-15
参考文献数
32

<b>目的</b>&emsp;幼児を持つ母親の偏食の状況について嫌いな食品の摂取行動と食物摂取の関連性を明らかにするとともに,嫌いな食品の摂取行動が自身の幼少期の食生活とどう関連しているかを明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;A 県 B 市の公立幼稚園15か所の園児1,145人の母親を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。質問項目は,属性,嫌いな食品の摂取行動,嫌いな食品の数,食物摂取頻度,幼少期の共食者,幼少期に受けた食教育とした。回収した797部(回収率69.6%)のうち,嫌いな食品の摂取行動についての回答があった685人(有効回答率59.8%)を分析対象とした。<br/><b>結果</b>&emsp;嫌いな食品を「食べる&bull;たぶん食べる」者は「食べない&bull;たぶん食べない」者よりも,嫌いな食品の数が少なく食物摂取状況が良好であった。幼少期に受けた食教育16項目との関連をみたところ,下位の 4 項目で有意な関連が認められ,食事づくりを手伝った/おかずは一人分ずつ盛りつけられていた/食事時はテレビを消していた/子ども向けに味付けや切り方が工夫されていた者は,嫌いな食品を食べる傾向にあった。<br/><b>結論</b>&emsp;幼児を持つ母親の嫌いな食品の摂取行動は食物摂取状況と関連しており,幼少期の家庭において子どもが食べやすい食事が出され食事に集中しやすい食生活環境が整っていたかどうかと関連していたことから,これらの食教育を推進する必要性が示唆された。
著者
菅原 千鶴子 森谷 [きよし] 木田春代
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.79-93, 2013-06-28

生涯にわたる人間形成の基礎を培う時期にある就学前の子どもがうける食育は,保護者の食に対する考え方や,生活意識によって大きな影響を受ける。保護者(特に母親)は子どもの食育に関心を持ちながらも,知識や時間などの問題から充分に取り組めない状況にあり,単回の食育に参加できても,継続した食育に参加する機会は多くない。先行研究において,札幌市居住4〜5歳児の90%以上が通園する幼稚園ならびに保育園と協力をして行った長期継続食育教室は,母親の食意識ならびに母親と子どもの食行動改善に有効であった。本研究では,就学前の子どもに「食を営む力」を育てる効果的な食育に協同で取り組むために,両園の食育の実践状況や地域等との連携状況を明らかにし,子どもと母親に対する継続食育活動を協同で推進・発展させる可能性を追求することを目的に,市内の全幼稚園ならびに保育園対象にアンケート調査を行った。アンケート回収率は幼稚園59%, 保育園57%であった。調査結果から,食育年間計画の作成割合は幼稚園より保育園で高率であったが,両園では諸機会を見つけて食育活動を行っていることが明らかになった。しかし,継続した食育活動はきわめて少なかった。 園と母親,地域が連携をし,園内だけでなく地域資源を活用した継続的な食育活動を行うために重要と考えられる事項について考察した。