著者
西山 一朗 福田 哲生 末澤 克彦 大田 忠親
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.271, 2009 (Released:2009-09-02)

キウイフルーツ等マタタビ属果実におけるシュウ酸含量 ○西山 一朗*,福田 哲生**,末澤 克彦**,大田 忠親* (*駒沢女短大,**香川農試府中分場) 目 的 キウイフルーツ等マタタビ属果実には,シュウ酸カルシウムの針状結晶束が含まれており,これが口腔刺激性(イガイガ感)の主原因とされている.本研究ではマタタビ属果実におけるシュウ酸カルシウム結晶束の局在を観察し,果実内シュウ酸濃度の品種間差異に関する検討を行った. 方 法 ニュージーランド系キウイフルーツ(Actinidia deliciosa)6種,中国系キウイフルーツ(A. chinensis)9種,シマサルナシ(A. rufa)2種,サルナシ(A. arguta)7種ならびに種間雑種2種の適熟期果実を実験に供した.シュウ酸カルシウム結晶束の観察は,果実赤道部の横断切片(約1 mm厚)に5% NaOH処理を施し,実体顕微鏡観察により行った.シュウ酸濃度は,可食部のピューレーを塩酸処理して得られた抽出液を試料とし,ODSカラムを用いたHPLC法により定量した.一部では,表皮の有無によるシュウ酸濃度の違いについても検討を行った. 結 果 実験に用いたすべての品種・系統の果実において,種子周辺の内果皮を中心としてシュウ酸カルシウム結晶束の分布が観察された.ニュージーランド系ならびに中国系キウイフルーツ果実のシュウ酸濃度は,それぞれ17.0~39.5 mg/100gおよび18.4~31.3 mg/100gの範囲にあり,両者間での顕著な違いは認められなかった.またシマサルナシおよびサルナシでは,それぞれ44.8~101.5 mg/100gならびに26.0~50.2 mg/100gの範囲にあり,キウイフルーツと比較してシュウ酸濃度が高値を示す傾向が認められた.サルナシ果実のシュウ酸濃度については,表皮の有無による有意な差異は認められなかった.