著者
西山 一朗
出版者
駒沢女子(短期)大学 学長 安藤嘉則
巻号頁・発行日
no.3, pp.19-26, 2021-03-10

Many web sites written in Japanese provide very suspicious information that the fruits ofkiwifruit are rich in psoralen, a phototoxic furocoumarin. In order to deny the suspiciousinformation, the furocoumarin content in the fruit of ‘Hayward’ and ‘ZESY002’ kiwifruit wasdetermined using reversed-phase high performance liquid chromatography(HPLC).Furocoumarins(psoralen, 5-methoxypsoralen, 8-methoxypsoralen and angelicin)have not beendetected in the fruits of both cultivars. The content of each furocoumarin in the fruits wasestimated as less than 2.36 μg per 100 g flesh weight from the detection limit in the HPLCsystem. The results in the present study have obviously shown it is the false information thatthe fruits of kiwifruit are rich in psoralen.
著者
西山 一朗
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.292-301, 2014 (Released:2015-01-20)
参考文献数
50
被引用文献数
1 1

貯蔵性に優れ,いつでも手軽に食べられるキウイフルーツは,日本を含め世界中で食されている。ビタミンC,カロテノイドの一種ルテインなどを含んでおり,食物繊維も豊富な機能性の高い食品である。さらに,キウイフルーツ果実には「アクチニジン」という特徴的な成分が含まれている。アクチニジンはキウイフルーツから見出されたたんぱく質分解酵素で,近年,その消化促進作用が注目されている。本稿では,アクチニジンの酵素学的な特性を概説するとともに,in vitroおよびin vivoにおけるアクチニジンの消化促進効果を検証した最新の研究結果を紹介する。これらの研究結果から,アクチニジンは消化管で様々な食物由来たんぱく質の消化を促進し,胃の内容物排出速度を速めることで,アミノ酸吸収の効率を高める可能性が示唆された。高い栄養価に加え,消化促進効果が期待できるキウイフルーツは,健康の維持増進に有用な果実の一つと考えられる。
著者
下橋 淳子 西山 一朗
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.247-250, 2008-12-31 (Released:2009-05-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

色調の異なる味噌の表面色と80%エタノール抽出液のDPPHラジカル消去能を測定し, 味噌の熟成中に生成したメラノイジンの生成量と抗酸化性の関係を調べた。さらに, 0.5M-L-リジンと0.5M-D-グルコースの等量混液によるアミノカルボニル反応液の着色度とDPPHラジカル消去能の関係からもメラノイジンの生成量と抗酸化性との関係を検討した。1) 味噌の表面色の明度とDPPHラジカル消去能の間には, 相関係数r=-0.755 (α‹0.05) で有意な負の相関が認められた。2) 味噌の熟成過程におけるアミノカルボニル反応で生成したメラノイジンが多く, 赤褐色化の進んだ味噌ほどDPPHラジカル消去能が高値を示した。3) 大豆の抗酸化成分を多く含む豆味噌の八丁味噌や赤だしは, 米味噌や麦味噌と比較してDPPHラジカル消去能がかなり高かった。4) 0.5MのL-リシンとD-グルコースの等量混合液によるアミノカルボニル反応液には, 着色度とDPPHラジカル消去能の間に相関係数r=0.961 (α‹0.01) で強い正の相関関係が認められた。
著者
西山 一朗 福田 哲生 大田 忠親
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.157-162, 2004-03-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
16
被引用文献数
10 20

Actinidin, a cysteine protease in kiwifruit, affects the taste, allergenic properties, and characteristics for processing the fruit. The actinidin concentration and the protease activity in the fruit juice of six Actinidia arguta and two A. rufa cultivars were determined by quantitative sodium dodecyl sulfate- polyacrylamide gel electrophoresis and spectrophotometric assay, using L-pyroglutamyl-L-phenyl-alanyl-L-leucinep-nitroanilide as a substrate. In 'Shinzan', 'Hirano', 'Gassan', and 'Mitsuko', both actinidin concentration and protease activity in the juice were much higher than those of 'Hayward', the most common kiwifruit cultivar, whereas protease activities in 'Kosui', 'Awaji', and 'Nagano' were significantly lower. These results indicate that there are varietal differences in actinidin content in the fruit ofActinidia species.
著者
岡田 昌己 西山 一朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.19-24, 2015 (Released:2015-01-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Although the fruiting body of the brown beech mushroom (Bunashimeji, Hypsizygus marmoreus) is known to contain several proteases, the proteolytic effects of these proteases on myofibrillar proteins have not previously been examined. We prepared a crude protease fraction from the fruiting body of the brown beech mushroom and examined its proteolytic effects on pork myofibrillar proteins.   The crude protease fraction hydrolyzed the myosin heavy chain in the pH range of 4.0-10.0, whereas actin, the other major myofibrillar protein, was unsusceptible to the enzyme. Treating pork tissue with the crude protease fraction at 25℃ for 1 h caused a substantial morphological change in the surface area of the meat. These results suggest the possibility of the protease preparation being suitable as a meat tenderizer. The protease fraction prepared from the brown beech mushroom was more susceptible to being heated than that from the maitake mushroom (Grifola frondosa) fruiting body, suggesting its advantage in preventing oversoftening of the meat by rapid inactivation of the enzyme from heating during cooking.
著者
西山 一朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1083-1089, 2001-11-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
21
被引用文献数
3

キウイフルーツ果実よりアクチニジンを精製し, 異なるpH条件下において豚, 鶏および牛筋原線維タンパク質に対する加水分解作用を調査した.いずれの動物種においてもアクチニジンは, pH3~4の条件では, 筋原線維タンパク質を非選択的かつ非限定的に加水分解したが, pH5.5~8では, ミオシン重鎖を選択的かつ限定的に加水分解することが示唆された.これに対して, 従来食肉軟化剤として多用されてきたパパインやプロメラインは, いずれのpHにおいても筋原線維タンパク質を非選択的・非限定的に加水分解した.この結果より, これらの酵素を食肉軟化剤として使用する場合, 食肉に対する過度の加水分解を防ぐためには, パパインやプロメラインよりもアクチニジンの方が優れている可能性が示された.
著者
西山 一朗 福田 哲生 末澤 克彦 大田 忠親
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.271, 2009 (Released:2009-09-02)

キウイフルーツ等マタタビ属果実におけるシュウ酸含量 ○西山 一朗*,福田 哲生**,末澤 克彦**,大田 忠親* (*駒沢女短大,**香川農試府中分場) 目 的 キウイフルーツ等マタタビ属果実には,シュウ酸カルシウムの針状結晶束が含まれており,これが口腔刺激性(イガイガ感)の主原因とされている.本研究ではマタタビ属果実におけるシュウ酸カルシウム結晶束の局在を観察し,果実内シュウ酸濃度の品種間差異に関する検討を行った. 方 法 ニュージーランド系キウイフルーツ(Actinidia deliciosa)6種,中国系キウイフルーツ(A. chinensis)9種,シマサルナシ(A. rufa)2種,サルナシ(A. arguta)7種ならびに種間雑種2種の適熟期果実を実験に供した.シュウ酸カルシウム結晶束の観察は,果実赤道部の横断切片(約1 mm厚)に5% NaOH処理を施し,実体顕微鏡観察により行った.シュウ酸濃度は,可食部のピューレーを塩酸処理して得られた抽出液を試料とし,ODSカラムを用いたHPLC法により定量した.一部では,表皮の有無によるシュウ酸濃度の違いについても検討を行った. 結 果 実験に用いたすべての品種・系統の果実において,種子周辺の内果皮を中心としてシュウ酸カルシウム結晶束の分布が観察された.ニュージーランド系ならびに中国系キウイフルーツ果実のシュウ酸濃度は,それぞれ17.0~39.5 mg/100gおよび18.4~31.3 mg/100gの範囲にあり,両者間での顕著な違いは認められなかった.またシマサルナシおよびサルナシでは,それぞれ44.8~101.5 mg/100gならびに26.0~50.2 mg/100gの範囲にあり,キウイフルーツと比較してシュウ酸濃度が高値を示す傾向が認められた.サルナシ果実のシュウ酸濃度については,表皮の有無による有意な差異は認められなかった.
著者
山中 美穂 大田 忠親 福田 哲生 西山 一朗
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.491-494, 2004-09-15
被引用文献数
1 8

マタタビ属果実の品種/系統特性ならびに有効な利用法を検討するため,果汁中に含まれるアクチニジン濃度およびプロテアーゼ活性について調査を行った.用いた12品種/系統のうち,'さぬきゴールド'および'Ananasnaya'では,主要な経済栽培品種である'ヘイワード'と比較して,アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に高値を示した.一方,'ファーストエンペラー','ティアドロップ'および'紅鮮'の果汁では,アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に低値を示した.特に'紅鮮'果汁のプロテアーゼ活性は,'ヘイワード'のわずかに13%であった.
著者
西山 一朗 篠 政行
出版者
駒沢女子大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02884844)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.15-20, 2001-03-03
被引用文献数
1

キウイフルーツ果汁からコバレントクロマトグラフィーにより、アクチニジンを96%の純度で精製した。食肉を精製アクチニジンによって処理したところ、pH3.3では食肉タンパク質が非特異的かつ非選択的に加水分解されたのに対し、pH6.0ではミオシン重鎖の選択的加水分解が生じた。食肉組織を走査電子顕微鏡で観察したところ、pH6.0の条件下でアクチニジン処理を行ったとき、筋原線維の基本構造は保持されたまま、筋内膜が分解除去されることが示唆された。以上の結果からアクチニジンは、従来使用されてきたパパインやブロメラインなどの食肉軟化酵素にはない、優れた特性をもつものと考えられる。
著者
西山 一朗 篠 政行 Ichiro NISHIYAMA SHINO Masayuki
巻号頁・発行日
vol.34, pp.15-20, 2001-03-03

キウイフルーツ果汁からコバレントクロマトグラフィーにより、アクチニジンを96%の純度で精製した。食肉を精製アクチニジンによって処理したところ、pH3.3では食肉タンパク質が非特異的かつ非選択的に加水分解されたのに対し、pH6.0ではミオシン重鎖の選択的加水分解が生じた。食肉組織を走査電子顕微鏡で観察したところ、pH6.0の条件下でアクチニジン処理を行ったとき、筋原線維の基本構造は保持されたまま、筋内膜が分解除去されることが示唆された。以上の結果からアクチニジンは、従来使用されてきたパパインやブロメラインなどの食肉軟化酵素にはない、優れた特性をもつものと考えられる。
著者
西山 一朗 大田 忠親 東京農業大学アイソトープセンター
出版者
駒沢女子大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02884844)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.19-25, 2003-03-03
被引用文献数
1

食肉をパパイン溶液に浸漬したときのパパインの浸透性と食肉組織変化について、抗パパイン抗体および抗I型コラーゲン抗体を用いた免疫組織化学的検討を試みた。豚肉片を1%パパイン溶液中に2時間浸漬したとき、パパインは食肉表面から0.3mm程度しか浸透しなかったが、表層部ではすでに食肉組織の変化が認められた。処理時間4時間では、パパインの浸透がわずかに進行したものの、表層部においては、食肉タンパク質の過度の加水分解による顕著な組織破壊が観察された。すなわち、パパインが豚肉内に浸透するためには長時間を要すること、ならびに、パパインに長時間暴露すると、食肉表層部において望ましくない過度のタンパク質分解を引き起こすことが示された。この結果は、食肉をプロテアーゼ溶液やプロテアーゼを含む果汁などに浸漬するだけで食肉軟化効果を生じるとする、これまでの報告や概念に疑問を投げかけるものである。パパイン等のプロテアーゼを食肉軟化剤として用いるためには、使用条件を再検討する必要があるものと考えられる。