著者
西山 一朗 福田 哲生 大田 忠親
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.157-162, 2004-03-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
16
被引用文献数
10 20

Actinidin, a cysteine protease in kiwifruit, affects the taste, allergenic properties, and characteristics for processing the fruit. The actinidin concentration and the protease activity in the fruit juice of six Actinidia arguta and two A. rufa cultivars were determined by quantitative sodium dodecyl sulfate- polyacrylamide gel electrophoresis and spectrophotometric assay, using L-pyroglutamyl-L-phenyl-alanyl-L-leucinep-nitroanilide as a substrate. In 'Shinzan', 'Hirano', 'Gassan', and 'Mitsuko', both actinidin concentration and protease activity in the juice were much higher than those of 'Hayward', the most common kiwifruit cultivar, whereas protease activities in 'Kosui', 'Awaji', and 'Nagano' were significantly lower. These results indicate that there are varietal differences in actinidin content in the fruit ofActinidia species.
著者
西山 一朗 福田 哲生 末澤 克彦 大田 忠親
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.271, 2009 (Released:2009-09-02)

キウイフルーツ等マタタビ属果実におけるシュウ酸含量 ○西山 一朗*,福田 哲生**,末澤 克彦**,大田 忠親* (*駒沢女短大,**香川農試府中分場) 目 的 キウイフルーツ等マタタビ属果実には,シュウ酸カルシウムの針状結晶束が含まれており,これが口腔刺激性(イガイガ感)の主原因とされている.本研究ではマタタビ属果実におけるシュウ酸カルシウム結晶束の局在を観察し,果実内シュウ酸濃度の品種間差異に関する検討を行った. 方 法 ニュージーランド系キウイフルーツ(Actinidia deliciosa)6種,中国系キウイフルーツ(A. chinensis)9種,シマサルナシ(A. rufa)2種,サルナシ(A. arguta)7種ならびに種間雑種2種の適熟期果実を実験に供した.シュウ酸カルシウム結晶束の観察は,果実赤道部の横断切片(約1 mm厚)に5% NaOH処理を施し,実体顕微鏡観察により行った.シュウ酸濃度は,可食部のピューレーを塩酸処理して得られた抽出液を試料とし,ODSカラムを用いたHPLC法により定量した.一部では,表皮の有無によるシュウ酸濃度の違いについても検討を行った. 結 果 実験に用いたすべての品種・系統の果実において,種子周辺の内果皮を中心としてシュウ酸カルシウム結晶束の分布が観察された.ニュージーランド系ならびに中国系キウイフルーツ果実のシュウ酸濃度は,それぞれ17.0~39.5 mg/100gおよび18.4~31.3 mg/100gの範囲にあり,両者間での顕著な違いは認められなかった.またシマサルナシおよびサルナシでは,それぞれ44.8~101.5 mg/100gならびに26.0~50.2 mg/100gの範囲にあり,キウイフルーツと比較してシュウ酸濃度が高値を示す傾向が認められた.サルナシ果実のシュウ酸濃度については,表皮の有無による有意な差異は認められなかった.
著者
山中 美穂 大田 忠親 福田 哲生 西山 一朗
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.491-494, 2004-09-15
被引用文献数
1 8

マタタビ属果実の品種/系統特性ならびに有効な利用法を検討するため,果汁中に含まれるアクチニジン濃度およびプロテアーゼ活性について調査を行った.用いた12品種/系統のうち,'さぬきゴールド'および'Ananasnaya'では,主要な経済栽培品種である'ヘイワード'と比較して,アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に高値を示した.一方,'ファーストエンペラー','ティアドロップ'および'紅鮮'の果汁では,アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に低値を示した.特に'紅鮮'果汁のプロテアーゼ活性は,'ヘイワード'のわずかに13%であった.
著者
西山 一朗 大田 忠親 東京農業大学アイソトープセンター
出版者
駒沢女子大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02884844)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.19-25, 2003-03-03
被引用文献数
1

食肉をパパイン溶液に浸漬したときのパパインの浸透性と食肉組織変化について、抗パパイン抗体および抗I型コラーゲン抗体を用いた免疫組織化学的検討を試みた。豚肉片を1%パパイン溶液中に2時間浸漬したとき、パパインは食肉表面から0.3mm程度しか浸透しなかったが、表層部ではすでに食肉組織の変化が認められた。処理時間4時間では、パパインの浸透がわずかに進行したものの、表層部においては、食肉タンパク質の過度の加水分解による顕著な組織破壊が観察された。すなわち、パパインが豚肉内に浸透するためには長時間を要すること、ならびに、パパインに長時間暴露すると、食肉表層部において望ましくない過度のタンパク質分解を引き起こすことが示された。この結果は、食肉をプロテアーゼ溶液やプロテアーゼを含む果汁などに浸漬するだけで食肉軟化効果を生じるとする、これまでの報告や概念に疑問を投げかけるものである。パパイン等のプロテアーゼを食肉軟化剤として用いるためには、使用条件を再検討する必要があるものと考えられる。