著者
栗田 春奈 吉田 智彦 本條 均 高橋 行継
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.21-28, 2014

携帯電話・スマートフォン等モバイル通信機器の急速な普及により,従来のパソコン向けウェブサイトを携帯電話やスマートフォン向けに改編する必要性が生じる場合がある.そこで,パソコン向け既存ウェブサイト「作物学用語集」を例に,初学者でもできるだけ簡易に取り組める手法を検討し,携帯電話向けサイトとAndroid用アプリに変換した.携帯電話向けサイトに変換するためのユーティリティは,無料で公開されているTiny   BASICで作成した.パソコン向けウェブサイトの元ファイルの長いテキストは,各用語の先頭につけられた星マークを目印に短いテキストへ分割し,必要なHTMLタグは各テキストの前後に追加した.各ファイルを識別するために,全ファイルに通し番号を付けた.作成したファイルは無料のFC2ホームページ・サービスにアップロードし公開した.Android用アプリについては,プログラミングについての特定の知識なしでAndroid版・iOS版両方のアプリ作成が可能なアムゼネット社の「アプリビルダー」を利用して,携帯向けサイト用に分割した各用語のテキストファイルを用いて各項目を作成し,Google Playで無料のアプリとして公開した.
著者
吉川 瑛治レオナルド Robson Ryu Yamamoto José Luiz Petri Fernando José Hawerroth 山根 健治 本條 均
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.143-153, 2014 (Released:2014-06-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

ニホンナシ‘幸水’と‘豊水’の鉢植え樹を供試し,2007,2009,2010および2011年度の4か年にわたりシアナミド剤の散布処理を行った.その後22°Cの自然光ガラス室に移動させ,発芽・開花状態を調査した.ニホンナシの自発休眠覚醒の指標とされる7.2°C以下低温遭遇時間と,発育速度(DeVelopmental Rate, DVR)モデルによる発育指数(DeVelopmental Indexes, DVI)を対比させ,シアナミド剤の散布時期の有効範囲の設定を試みた.なお,DVI1は大谷(2006),杉浦(1997),が定義している,自発休眠覚醒期中の-6~12°Cの温度範囲を対象としたものである.そのDVI1は本研究でDVI(old)と定義した.一方,杉浦ら(2003)は自発休眠覚醒期中の21~24°Cの温度域は低温積算の一部を打ち消して自発休眠を逆進させる効果があると報告している.その報告に基づき求めたDVI1をここではDVI(new)と定義した.その結果,7.2°C以下の低温遭遇400~600時間処理の時点でシアナミド処理をすると,両品種の自発休眠打破の促進効果が認められた.両品種ともにDVI(new)(杉浦ら,2003)が0.65~0.70の範囲内でシアナミド処理すると,発芽および開花が改善され,開花日も促進した.DVI(old)(杉浦,1997)とDVI(new)において,発育ステージが進行し,DVI(old)では,1.03以上,DVI(new)では,0.80以上では処理の効果は弱まる傾向を示した.2011年度の秋冬季(10~2月)では他の年次より21°C以上に遭遇した時間が68時間長かったため,低温遭遇時間のみでシアナミド剤の散布時期を特定することは困難であったが,高温時の打ち消しを考慮したDVI(new)は,発育ステージを適正に評価した.以上の結果から,低温代替技術として,シアナミド処理を行う場合,気候温暖化に対応可能なDVI(new)モデルによる散布時期の予測が有効であることが示唆された.
著者
山本 晴彦 本條 均 早川 誠而 鈴木 義則 河田 尚之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.207-213, 1996-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
1

暖地において水田裏作の基幹作物である二条オオムギ(品種: ニシノチカラ)を対象に, 個体群の太陽エネルギー利用効率(Eu, %), 太陽エネルギー転換効率(Ec, %)ならびに日射吸収量から乾物への変換効率(Cs, g MJ^<-1>)を算出し, 二条オオムギの乾物生産を太陽エネルギーの利用の面から評価した. 節間伸長期から出穂期までの個体群日射吸収量は全天日射量の約56%, 登熟期間中の個体群日射吸収量は約70%であった. 全生育期間の個体群日射吸収量は865.02 MJm^<-2>で, これは生育期間中の個体群に投下された日射量の積算値の約40%に相当した. 節間伸長期から出穂期までの生育中期のEcは3.94%で, 高い値を示した. また, 登熟期間中のEuは1.47%, Ecは2.13%で, 全生育期間におけるEuは1.09%, Ecは2.71%であった. これは, 表作における暖地水稲のEu, Ecに匹敵する値であり, 寒冷地のリクゼンムギに比べてかなり高率であることがわかった. 播種期直後から出穂期までの栄養生長期における乾物生産と積算日射吸収量の関係は直線関係が成り立ち, Csは2.32gMJ^<-1>であった. さらに, 登熟初期および中期は, 1.79gMJ^<-1>, 1.179MJ^<-1>になることが示された.
著者
本條 均
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-5, 2007 (Released:2007-03-06)
参考文献数
30
被引用文献数
11 14
著者
杉浦 俊彦 黒田 治之 伊藤 大雄 本條 均
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.380-384, 2001-05-15
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

特殊な形状から近赤外分光分析法による糖度測定の実用化が遅れているブドウ果実について, 比重と糖度との相関関係の有無を検討した.供試した果房の比重は, 水を使わずに体積が測定できる音響式体積計を利用して測定した.それぞれの果房の糖度は全果粒を採取して搾汁し, 屈折糖度計で求めた.1. '巨峰'の果房における比重と糖度の関係は収穫年次や産地が異なっても安定し, 同一直線上にのった.2. '巨峰'の比重と糖度の関係は16°Brix程度から23°Brix程度の広い範囲で高い相関係数(r=0.981<SUP>***</SUP>)が得られ, また回帰線の実測値と推定値の誤差(標準誤差)は0.35°Brixと低くかった.3. 'キャンベルアーリー', 'ネオマスカット'および'甲州'における果房の比重と糖度の間にも高い相関が認められた.4. 比重と糖度の間における回帰直線の傾きには品種間で有意な差はみられなかった.5. 以上の結果から, 比重測定によるブドウ果房の非破壊糖度測定の可能性が示唆され, また比重測定に音響式体積計が活用できる可能性が示唆された.