著者
杉村 康司 沖津 進
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-48, 2009-06-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
51

1. 茨城県筑波山のスギ・ヒノキ人工林を対象に,コケ植物の分布と微地形との関係を明らかにするため,植生調査を行った.コケ植物の分布と顕花植物ならびにシダ植物の分布を比較し,それらをもとにスギ・ヒノキ人工林内におけるコケ植物の地形分布と種多様性における微地形の生態的意義を検討した.  2. 微地形条件に対応した種の割合は,コケ植物,シダ植物,顕花植物の順に多かった.特に,谷底面のみに出現した種はコケ植物が多かった.微地形との対応関係はコケ植物,シダ植物,顕花植物の順に明瞭であった.  3. 各微地形のコケ植物,シダ植物,顕花植物の平均出現種数は,頂部平坦面,頂部斜面,上部谷壁斜面,下部谷壁斜面,麓部斜面,谷底面の順に増加していた.各微地形間における有意差は,コケ植物,シダ植物,顕花植物の順に明瞭であった.  4. コケ植物の地形分布は,顕花植物よりもシダ植物の地形分布と類似していた.5.スギ・ヒノキ人工林における植物の分布は,流路からの距離の違いに伴って谷底面,麓部斜面,下部谷壁斜面,上部谷壁斜面,頂部斜面,頂部平坦面と変化する微地形条件を反映していると考えられた.  6. スギ・ヒノキ人工林における種多様性の維持にとって,谷底面が最も重要性が高く,谷底面のみに出現するコケ植物種群の役割が大きいことが明らかになった.
著者
高野 信也 杉村 康司 樋口 正信
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.10, pp.319-320, 2004-11
被引用文献数
4
著者
杉村 康司 沖津 進
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.113-124, 2002
被引用文献数
2

&nbsp;&nbsp;1.茨城県筑波山の森林を対象に,落葉と岩の被覆率の違いに着目して設定した調査地点ごとに林床蘇苔類の分布状況を調査し,上層植生,落葉,岩と蘇苔類の分布様式との関係を総合的に検討した. <BR>&nbsp;&nbsp;2.低山帯の林床に出現する蘇苔類の種類や種数は,高木層まで発違した森林植生であれば,高木層の高さや植被率あるいは森林タイプの違いにより大きく変化することはなかった. <BR>&nbsp;&nbsp;3.落葉の被覆率が低く,岩の被覆率が高い林床では,蘇苔類の出現種数が多かった.逆に落葉の被覆率が高く,岩の被覆率が小さい林床では,出現種数が少なかった. <BR>&nbsp;&nbsp;4.落葉に被われにくい岩は,林床蘇苔類にとって最も重要な生育環境を提供していた.特に大きな岩が存在することが,林床蘇苔類の分布にとって重要な条件となっていた. <BR>&nbsp;&nbsp;5.低山帯における岩上においても,大きな岩では生育形数が増加し,階層構造が複雑化していた. <BR>&nbsp;&nbsp;6.低山帯における林床蘇苔類の種多様性は,岩の分布量,特に大きな岩の分布量により規定されていた.
著者
渡辺 高志 小山 鐵夫 岡田 稔 朴 〓宣 木内 文之 川原 信夫 水上 元 田中 伸幸 伊藤 美千穂 杉村 康司 飯田 修 渕野 裕之 PITISOPA Fred TAVIE Clemen GIDEON Solo PATTSON Tofu
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ソロモン諸島は,豊富な熱帯雨林に恵まれ未開の地と云え,生物は種類が豊富であり,ソロモン固有種が多く生育しており4,500種を超える高等植物が確認されている.従って薬用植物の分布も多く,未研究種が大半である事から,主に新薬創出・代替生薬の発掘のため,カギカズラ属Uncaria(生薬「釣藤鈎」として利用),ゴシュユ属Tetradium (Euodia)(生薬「呉茱萸」類縁品として利用)などを中心に探索収集し,さく葉標本は2392種(SIMB 1-2392)で7020点,そして生薬標本は1440点に達した.