著者
桑江 朝比呂 三戸 勇吾 有川 太郎 石川 洋一 木所 英昭 澁谷 容子 志村 智也 清野 聡子 羽角 華奈子 茂木 博匡 山北 剛久 李 漢洙 金 洙列 久保田 真一 倉原 義之介 辻尾 大樹 二宮 順一 伴野 雅之 古市 尚基 安田 誠宏 森 信人 武若 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-17, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
67

今後の我が国の沿岸分野における気候変動対応で取り組むべき課題について,どのような内容に研究者が関心を抱いているのか検討された例はない.そこで,気候変動に関連する様々な学会に対してアンケートを実施した.その結果,「気温・海水温」,「生物多様性の減少」,「海面上昇」,「極端気象・気候」,「温室効果ガス」,「生態系サービスの劣化」,「台風・低気圧」,「水産物の減少」,「国土減少・海岸侵食」,そして,「漁業管理」が優先すべき課題の上位10キーワードとして選択された.すなわち,自然現象や人間活動への影響に関する課題解決の優先度が高く,緩和・適応策の優先度は低かった.これらのキーワードの選択理由について考察するとともに,我が国における現状と今後の課題や展望について,キーワードごとにとりまとめた.
著者
李 漢洙 下山 智久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_325-I_330, 2016

瀬戸内海は,潮汐と潮流の影響が卓越した沿岸環境を有している.本研究は,南海トラフで想定される最大クラスの巨大地震によって発生しうる津波を対象として,適合格子細分化を採用した数値実験により,瀬戸内海における潮汐が津波伝播に及ぼす影響について定量的評価を行った.特に,瀬戸内海における津波伝播過程において,速吸瀬戸を基準とする潮汐の位相差(上げ潮・満潮・下げ潮・干潮)を考慮し,潮汐と津波の物理的相互作用を考慮した数値計算を行った.その結果,瀬戸内海で最も潮汐が大きい周防灘において,潮汐位相別の津波高に最大50cm,到達時間に最大約1時間の差が認められた.さらに,計算最大津波高における潮汐位相別津波高の差の比率を不確実性と定義して評価した結果,播磨灘において,最大50%を超える計算津波高における不確実性が認められた.