著者
木瀬 晃周 有川 太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_385-I_390, 2020
被引用文献数
2

<p> 津波は土砂を含んだ場合,通常の海水に比べて密度が増し,波力が増大することで,建造物等に大きな影響を及ぼすと考えられている.宮城県気仙沼市に残っていた東日本大震災時の津波の水を調べたところ,含まれる土砂の中央粒径は6.74µmと多くはシルトに分類されるような細かいものであった.既往の土砂混じりの津波の波力や氾濫水密度,シルトを含む津波の波力を明らかにした研究はないため,本研究では土砂やシルトを含んだ津波に関して実験を行い,密度や水面角度,波力の大きさ等を比較,波圧係数による検討を行った.その結果,フルード数が同じであっても土砂が混じることで相対的に波圧が増大する可能性があることが示された.</p>
著者
木瀬 晃周 有川 太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_385-I_390, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
19
被引用文献数
2

津波は土砂を含んだ場合,通常の海水に比べて密度が増し,波力が増大することで,建造物等に大きな影響を及ぼすと考えられている.宮城県気仙沼市に残っていた東日本大震災時の津波の水を調べたところ,含まれる土砂の中央粒径は6.74µmと多くはシルトに分類されるような細かいものであった.既往の土砂混じりの津波の波力や氾濫水密度,シルトを含む津波の波力を明らかにした研究はないため,本研究では土砂やシルトを含んだ津波に関して実験を行い,密度や水面角度,波力の大きさ等を比較,波圧係数による検討を行った.その結果,フルード数が同じであっても土砂が混じることで相対的に波圧が増大する可能性があることが示された.
著者
桑江 朝比呂 三戸 勇吾 有川 太郎 石川 洋一 木所 英昭 澁谷 容子 志村 智也 清野 聡子 羽角 華奈子 茂木 博匡 山北 剛久 李 漢洙 金 洙列 久保田 真一 倉原 義之介 辻尾 大樹 二宮 順一 伴野 雅之 古市 尚基 安田 誠宏 森 信人 武若 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-17, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
67

今後の我が国の沿岸分野における気候変動対応で取り組むべき課題について,どのような内容に研究者が関心を抱いているのか検討された例はない.そこで,気候変動に関連する様々な学会に対してアンケートを実施した.その結果,「気温・海水温」,「生物多様性の減少」,「海面上昇」,「極端気象・気候」,「温室効果ガス」,「生態系サービスの劣化」,「台風・低気圧」,「水産物の減少」,「国土減少・海岸侵食」,そして,「漁業管理」が優先すべき課題の上位10キーワードとして選択された.すなわち,自然現象や人間活動への影響に関する課題解決の優先度が高く,緩和・適応策の優先度は低かった.これらのキーワードの選択理由について考察するとともに,我が国における現状と今後の課題や展望について,キーワードごとにとりまとめた.
著者
山田 進 町田 昌彦 有川 太郎
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.73-86, 2023 (Released:2023-04-27)
参考文献数
24

A siltfence is installed to prevent the spread of suspended sediments generated by engineering construction works in rivers and on the coast. Thus, the siltfence is regarded to be a tool to prevent radioactive materials adsorbed on suspended sediments from diffusing into the sea in ports of nuclear power plants during nuclear accidents. However, the prevention effects of the siltfence as sediment control structures have not yet been fully evaluated. Therefore, in this paper, we simulate the behaviors of suspended sediment particles using a coupled simulation scheme composed of water flow and deformation of the siltfence in a rectangular open channel under uniform steady flow, and evaluate the promotive effects of the installed siltfence on suspended sediment deposition. The results demonstrate that the installation of the siltfence significantly promotes deposition, especially of particles with low settling velocities. However, it should be noted that the opposite case is also possible, i.e., the siltfence promotes the diffusion of suspended sediments under particular conditions. These results suggest that a careful installation strategy is necessary. The present simulation scheme is useful in assessing the prevention effects of siltfences prior to their installation.
著者
高橋 重雄 酒井 洋一 森屋 陽一 内山 一郎 遠藤 仁彦 有川 太郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.159-164, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
27

The primary objective of tsunami disaster mitigation is to reduce the casualties. The major cause of the deaths is drowning by tsunami current, especially during evacuation. In the paper, the causes of deaths are discussed through reference to past experiences. A fault tree is presented to summarize the physical danger posed by tsunami waves to the human body, and the personal danger is discussed based on the tree. The stability of the human body against wave front collision and tsunami currents is discussed and threshold conditions are proposed. The time for evacuation is usually very limited and the risk of encountering a tsunami during evacuation is often high. Walking in inundated areas during a tsunami attack is especially dangerous. Vertical evacuation is highly recommended.
著者
有川 太郎
出版者
中央大学
雑誌
国際的な科学技術共同研究などの推進 戦略的国際科学技術協力推進事業 J-RAPID
巻号頁・発行日
2019

2018年12月23日に生じたクラカタウ火山の噴火に伴う津波の発生により、津波の大きさとしては比較的に小さかったものの、多くの犠牲者が発生した。この津波は、火山の噴火時における山体崩壊により津波が発生したと考えられているが、そのメカニズムは明らかにされていない。また、そのような非地震性の津波に対する警報システムが無かったことが津波避難の遅れにつながり、多くの犠牲者を出したと推測される。そこで、本研究では、以下の3つを実施し、非地震性津波に対するメカニズムの解明、検知システムの構築並びに避難計画の策定手法の提案を行う。 1)クラカタウ島付近の海底地形探査 2)ビデオイメージを活用した海面監視の可能性 3)数値計算と合わせ、避難に有効につなげるための情報発信方法の検証
著者
山本 吉道 ウッチャン ウィブール 有川 太郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.301-305, 2008
被引用文献数
2

The following improvements on tsunami damage predicting are examined in order to decrease the tsunami damage: 1) It is checked that the destructive evaluation of buildings of a wide area due to tsunami can be efficiently performed with the numerical model which can calculate a flood of only land area with good accuracy and the gate type Rahmen model. 2) The limit of inundation height that human-beings can stand up to tsunami is obtained using data of a large-scale model experiment. This limit is determined by a slide and changes in the range of 20cm-40cm with sex and height. 3) When the overflow of tsunami occurs on the land area of a steep slope, a strong back-flow will occur. Therefore, a calculating method which can be used for the stable examination against it is also proposed.
著者
壁谷澤 寿海 楠 浩一 有川 太郎 井上 波彦 壁谷澤 寿一 松山 昌史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

鉄筋コンクリ-ト造建築物の縮小試験体が崩壊に至る水理実験を実施して特に地震動による損傷と漂流物による閉塞効果の影響を検証した。2014年度にはピロティ構造の震動実験と孤立波による水理実験を実施し,地震動による損傷が津波による倒壊危険性を増大させることを実証した。2016年度には純ラーメン構造が連続波と漂流物によって倒壊に至る水理実験を実施し,漂流物の開口閉塞効果により大幅に増大する津波荷重を定量的に明らかにした。2015年度,2017年度には静的加力実験を行い,水理実験の試験体の耐力を確認した。以上の実験結果および検討成果を総括して津波避難ビルの設計用津波荷重の評価法を提案した。