著者
村上 和雄 堀 美代 坂本 成子 大西 淳之
出版者
公益財団法人国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、瞑想や祈りなど人類が社会生活の営みに取り入れてきた宗教性が健康にもたらす効果を、アロスタティックな心身変容と捉えて実証した。仏教の護摩行を実践した僧侶は炎症関連,脂肪酸代謝関連,NK細胞調節関連の遺伝子が発現増加し、呼吸やアミノ酸代謝、脂質代謝などの代謝産物の変動が見られた。一方、ヨーガ瞑想の実験では、熟練度で遺伝子発現プロファイルが異なっていた。しかし、ヨーガの経験の有無に関係なく、ネガティブな感情が低下し、がん抑制関連の遺伝子発現やケトン体の生合成や分解に関わる代謝産物などが変動した。また、護摩行とヨーガ瞑想ともに未経験の被験者において即時的な効果が引き出されることも分かった。
著者
林 隆志 村上 和雄 林 啓子 河合 徳枝
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

笑いやすい体質作りのためのトレーニング法を開発し、その効果を分子生物学的に検証した。トレーニング後のコミックビデオ鑑賞で脳波・α2帯域成分(生命維持中枢部の活性を反映)が増加する被験者の笑い体験後で発現が変化している遺伝子を抽出しオントロジー解析した結果、発現増加している遺伝子は免疫系に関連し、発現減少している遺伝子は癌に関連する遺伝子であった。また、これらの被験者では、α2帯域成分の増加を認めない被験者と比較して、平常時の同一カテゴリーに属する遺伝子の発現にも差を認めた。
著者
村上 和雄 掛本 道子 原田 敏勝 山田 約瑟 小川 裕康
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.343-348, 1992-07-05
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

球状シリカビーズ表面にグルコースオキシダーゼ(GOD)とグルコアミラーゼ(GAM)を共有結合で固定化し,ミニカラムに充てんしてミクロなバイオリアクターをつくり,高速液体クロマトグラフの分離カラムの後に接続した.グルコースはGODの触媒作用により過酸化水素とグルコノラクトンを,マルトースはGAMによりグルコースを生じ,更にこのグルコースがGODにより過酸化水素を生じる.生成した過酸化水素を電気化学検出器でアンペロメトリックに測定し,グルコースとマルトースの間接定量を試みた.本方法の検出感度は,GOD固定化カラムを用いた化学発光-FIA法やGOD・GAM固定化カラムを用いた化学発光-FIA法とほぼ同等であり,示差屈折率検出器を用いるHPLC法よりも約500倍高かった.最小検出量は絶対量でグルコースが10ng,マルトースが15ng(いずれも<I>S</I>/<I>N</I>=3)であった.本法は酵素の触媒作用,電気化学検出器の選択的で高感度な検出を利用しているため,前処理が極めて簡略化でき,試料を希釈するだけでよかった.市販の麦芽飲料,麦芽入り豆乳,ノンアルコールビール中のグルコースとマルトースの定量に応用し,良好な結果が得られた.
著者
堀 美代 村上 和雄 坂本 成子 大西 英理子 大西 淳之 一谷 幸男 山田 一夫
出版者
公益財団法人国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

幼若期の社会的隔離によって引き起こされるストレス脆弱性に対する快情動の効果を検証した。仔ラットどうしの遊び(rough and tumble play)をモデルにしたtickling刺激は、50kHz音声の表出と側坐核のドパミン分泌を促し、恐怖条件づけの恐怖反応や自律神経系のストレス応答を軽減させた。これらのことは、幼若期において他個体との相互作用を伴う遊び行動が、快情動形成およびストレス応答性の獲得に影響を及ぼす可能性を示唆する。