著者
一ノ瀬 友美 松元 奈保 金 泰煥 佐土原 聡 村上 處直
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.403-410, 1995-11

【はじめに】 大地震などの災害時、都市において、特に木造住宅の密集地や商・住・工の混在地域では、市街地大火の危険性が非常に高い。市街地大火のために避難を強いられた人々に、防災拠点がどのような役割を果たせるかは、大きな課題であるというのは、今回の兵庫県南部地震でも浮き彫りとされた。そこで、本報では、防災拠点が、どれだけ災害時に対応できるかを事例として白鬚鬚東防災拠点のハードの面およびソフトの面から評価し考察した。 【研究目的と方法】 墨田区の白鬚東地区は、隅田川と荒川放水路に囲まれて、地盤が軟弱なうえ、商・住\・工の混在地域の木造密集地である。白鬚東防災拠点は大地震発生時に予想される市街地火災に対する防火壁として機能させるため、高さ40m連続住棟(18棟)を約1.2kmにわたって配置させ、その内側に約10万人の区民を収容する避難広場を設けている。また、防火壁となっている防災団地の防災設備(放水銃、防災シャッターなど)は24時間体制で管理されている。白鬚東防災拠点は建設されてから20年。機材は老朽化が進むばかり、一度として使用されていない。現場からは防災設備のあり方を問い直す声が上がった。そこでもう一度、防災拠点の有用性を確認する。本報では、拠点内の各施設を詳しく調べ、避難生活場所としての機能を評価すると同時に、防災拠点となっている団地の住民を中心にソフトの面で拠点がどれだけ対応できるかを住民の防災意識・防災対策を踏まえ、平常時・災害時における拠点の位置付け、および避難生活時に被災者への対応を防災拠点団地住民のボランティア意識を基に、今後の防災拠点の指標とする。 【結論と考察】 阪神大震災で家を失った市民は公共施設へ逃げ込んだ。この事実を見ても、広域避難場所である白鬚東防災拠点に公共施設を置いたことは理にかなっている。また、防災壁として設けた防災団地の存在が被災者の絶対数を減らし、避難生活者に十分な面積を用意している。このように広域避難場所に普段から利用できる施設を置いたことが、災害発生後に思わぬ利を生みそうである。一方、防災拠点内に住む団地住民は防災意識が高められる環境にあるという結果が明かとなり、防災訓練の参加にも積極的であった。災害時における団地住民の協力意識もかなり高い結果であり、防災拠点は即対応が可能でソフトの面で協力体制が組めそうである。
著者
村上 處直 佐土原 聡 岡西 靖
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.7, pp.390-393, 1997-11

In earthquake, we must rescue person buried alive form collapse buildings as soon as posible. Rescuing person buried alive quikly connects high suvival rate. But firemen were very short of hands in great HANSIN earthquake. It is necessary to adjust the pan between neighborhoods and firemen for rescuring person buried alive quickly. Rescue instrument must be developed to assume the environment in colapse buildings.
著者
村上 處直 佐土原 聡 田中 希代 浦川 豪
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.147-154, 1995-11

【1. はじめに】 1990年11月17日にはじまった198年ぶりの雲仙普賢岳の噴火は1991年6月3日の大火砕流で多数の死傷者を出すなどの災害へと拡大した。その後も土石流が発生し、民家が倒壊、流失するなどの被害が続き、大勢が避難し、災害は長期に及んでいる。現在、砂防事業、河川の改修事業などが進められているが、完成には時間がかかり、住民は雨が降るたびに土石流に対する避難を余儀なくされている。幸い、1994、1995年現在まで土石流による被害はないが、住民の防災意識の低下が心配される。 【2、研究の目的、方法】 普賢岳災害時は、これまでの災害では余り見受けられなかった「長期化」という問題を抱えている。この長期化する災害の中、本研究では戸別訪問によるアンケート調査をおこない、住民側から見た避難計画への意見を求め、土石流に対する避難を円滑にするために、避難に関する住民の意識、行政の現状を把握し、今後の避難計画に役立てソフト面の充実をはかる。また、島原市の災害情報収集のメディアとして利用されている防災行政無線(戸別受信機)、及びCATVを分析、評価し、今後の災害情報収集におけるCATVの有効的な活用の可能性について方向性を示しハード面の充実もはかるものである。 【3. 分析・評価】 アンケート調査によって、既成の避難計画に対する問題点が数多く上がるとともに、住民への浸透もかなり低いことが明らかになった。行政側は、情報公開や公聴会などを開くことによって、住民と共に防災計画を作り上げるという姿勢を示すことが大切であると思われる。また、CATVは有効的に活用できるメディアであることも明らかになった.今後は、行政が介入し、CATVの持つ特徴を生かし災害時だけでなく、災害前期、後期において積極的に利用することが望まれる。