著者
縄手 祥平 壺井 祥史 成清 道久 大橋 聡 長崎 弘和 神林 智作 村山 雄一
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.551-555, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
15

【目的】脳空気塞栓症は潜水病としてダイバーに多く報告される病態である.今回我々は,筋力トレーニング後に脳空気塞栓症を発症した症例を経験したため報告する.【症例】75歳男性.ジムでの筋力トレーニング後,自宅で突然の意識障害を認め,当院へ救急搬送となった.意識レベルは JCS 300,GCS E1V1M1,強直性の痙攣重積状態であった.頭部CTで右前頭葉に散在する低吸収域を認め,空気塞栓症と診断した.痙攣重積状態であったため,高圧酸素療法は施行せず,抗痙攣薬とエダラボンの投与を行った.意識レベルは徐々に改善し,発語が認められ,指示動作に応じられるようになったが,重度の左片麻痺が残存した.発症53日目に modified Rankin Scale 3で回復期リハビリテーション病院へ転院した.【結論】既往歴に間質性肺炎を指摘されていたため,筋力トレーニング中の胸腔内圧上昇により肺胞が破裂したことが空気塞栓症の原因と考えられた.筋力トレーニングに伴う空気塞栓症は脳卒中の一因として認識しておくべきであると思われた.
著者
縄手 祥平 壺井 祥史 成清 道久 大橋 聡 長崎 弘和 神林 智作 村山 雄一
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10886, (Released:2021-07-07)
参考文献数
15

【目的】脳空気塞栓症は潜水病としてダイバーに多く報告される病態である.今回我々は,筋力トレーニング後に脳空気塞栓症を発症した症例を経験したため報告する.【症例】75歳男性.ジムでの筋力トレーニング後,自宅で突然の意識障害を認め,当院へ救急搬送となった.意識レベルは JCS 300,GCS E1V1M1,強直性の痙攣重積状態であった.頭部CTで右前頭葉に散在する低吸収域を認め,空気塞栓症と診断した.痙攣重積状態であったため,高圧酸素療法は施行せず,抗痙攣薬とエダラボンの投与を行った.意識レベルは徐々に改善し,発語が認められ,指示動作に応じられるようになったが,重度の左片麻痺が残存した.発症53日目に modified Rankin Scale 3で回復期リハビリテーション病院へ転院した.【結論】既往歴に間質性肺炎を指摘されていたため,筋力トレーニング中の胸腔内圧上昇により肺胞が破裂したことが空気塞栓症の原因と考えられた.筋力トレーニングに伴う空気塞栓症は脳卒中の一因として認識しておくべきであると思われた.
著者
小関 宏和 村山 雄一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.888-897, 2021-07-10

Ⅰ はじめに 脳動脈瘤は,発生から増大,破裂に至るまでの経過を予測することが極めて困難な疾患であることから,その病態機序の解明には臨床像を模倣した疾患モデルが不可欠である.臨床での動脈瘤壁の病理学的・遺伝学的所見,および血管画像を用いた流体解析などから,脳動脈瘤が血流ストレス依存的な疾患であり,血管壁に炎症を伴う病変であることが示唆されてきたが1-4),それらの因果関係や,炎症に至るまでの機序については未だ不明な点も多い.この課題を解決すべく,70年ほどの間に実験的な脳動脈瘤モデルの開発が進み,それと相まって疾患に対する理解が深まり,そこから生まれてくる新たな課題に対してそれらのモデルが進化を遂げてきた,あるいは新たなモデルが生み出されてきた. 本稿では,実験的脳動脈瘤モデルの歴史を紐解きながら,それらのバリエーションや特徴について概説する.詳細な病態機序の解説については他稿に譲るが,これらの実験的脳動脈瘤モデルによって得られた最新の知見について紹介する.
著者
高尾 洋之 山本 誠 大塚 忍 鈴木 貴士 増田 俊輔 村山 雄一 阿部 俊昭
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.298-305, 2012-04-20
参考文献数
30

近年,数値流体解析(CFD)技術はさまざまな分野で応用され,医学の分野において,多くの論文で数値流体解析の結果が報告されている.現在,脳動脈瘤の発生,増大および破裂のメカニズムは十分に理解されていない.それに対し,CFDを用いてそれらに関わる流体力学的パラメーター(wall shear stress : WSS, shear strain rate : SSR, oscillatory shear index : OSI, energy loss : EL, pressure loss coefficient : PLC)を検討した論文が数多く存在し,中でもWSSが注目されているが,相反する両論が存在している状況である.本論文では,そのパラメーターをいくつか紹介し,われわれのCFD解析結果の報告に加え,われわれの結果と最近の他の論文の結果を比較する.