著者
松下 晃生 内山 雄介 高浦 育 小硲 大地
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_1003-I_1008, 2021 (Released:2021-11-04)
参考文献数
11

気候値海洋モデルを用いたLagrange粒子追跡実験により,南シナ海に河口を有する4本の大河川から放出される海洋マイクロプラスチック(以下 MP)の平年的な移流分散特性とその形成機構を解析した.MPの分散パターンにはモンスーンに伴う季節差が存在した.特に中国南部の2河川から放出された粒子は,南西モンスーンが卓越する春から夏にかけて台湾海峡を越えて東シナ海へと到達する割合が増加する傾向が見られたことなどから,南シナ海起源のMPが日本近海のMP汚染に大きく寄与している可能性が示された.さらにMP自身の重量密度にも着目し,海洋表層を漂う(軽い)MP,および浮力を持たない(中立密度)MPに分けて粒子追跡実験を行い,海洋での輸送傾向の違いを考察した.
著者
清水 哲也 水口 義昭 吉岡 正人 松下 晃 金子 恵子 川野 陽一 勝野 暁 神田 知洋 高田 英志 中村 慶春 谷合 信彦 真々田 裕宏 横室 茂樹 内田 英二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.79-85, 2016-01-31 (Released:2016-04-26)
参考文献数
19

ERCPは胆膵疾患の診断に不可欠な手技となり,ERCPを応用したさまざまな手技が活用されている一方,ERCPの偶発症は重篤化しやすく慎重を要す手技である。ERCP合併症の中でも後腹膜穿孔は死亡率が高く,その診断と対処が重要である。1999年1月から2015年5月までのERCP自験例 4,076例のうちERCPの後腹膜穿孔を10例(0.25%)に認め,その原因と対応を検討した。穿孔部位は,乳頭部3例,胆管3例,膵管2例,十二指腸2例であり,原因は,乳頭部穿孔ではEST,胆管穿孔では砕石処置具の挿入,膵管穿孔ではカテーテル操作,十二指腸穿孔では内視鏡の挿入による損傷であった。後腹膜穿孔を疑う際にはENBDや胃管で減圧しCTで後腹膜穿孔の重症度を確認する。CTで後腹膜に液体貯留を認め,かつ発熱や疼痛のある症例は緊急手術を行う。後腹膜気腫のみ,もしくは少量の液体貯留のみで無症状の症例は保存的加療を行い経時的に疼痛や液体貯留をフォローし,所見の悪化がある際は緊急手術を考慮する。
著者
高橋 毅 鈴木 一也 伊藤 靖 松下 晃三 数井 暉久
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
巻号頁・発行日
2000

症例は50歳, 男性.1996年9月3日, 悪性胸膜中皮腫に対し左胸膜肺全摘, 心嚢, 横隔膜, 胸壁合併切除術, 及び温熱化学療法を施行した.外来にて経過観察されていたが1999年11月, 胸部CTにて左胸壁に径3cmの腫瘤を指摘され, CTガイド下針生検にて悪性胸膜中皮腫の再発と診断された.全身精査にて転移巣のないことを確認し2000年1月, 再発巣の切除術を施行した.rights: 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation:isVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110001272251/
著者
大井 諭 松下 晃三 閨谷 洋 船井 和仁 高持 一矢 鈴木 一也 数井 暉久
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.694-697, 2006-05-15
被引用文献数
4

今回我々は,右自然気胸術後の切除標本で偶然発見されたmalignant solitary fibrous tumorの1例を経験した.症例は48歳男性.右自然気胸の手術は胸腔鏡下で上葉にある肺嚢胞を広範囲にわたり切除した.術前および術中は腫瘍の存在には気づかず,術後の病理診断で腫瘍の存在が明らかとなった.この患者はその後,約6ヵ月経過して胸腔内に局所再発し,放射線化学療法と手術療法を行ったが再々発し,気胸手術後約1年経過して亡くなった.solitary fibrous tumorは,再発を繰り返し時として悪性化する場合もありえるので長期間の経過観察が重要である.