- 著者
-
後藤 博之
杉浦 敏文
原田 幸雄
数井 暉久
- 出版者
- 一般社団法人 日本人工臓器学会
- 雑誌
- 人工臓器 (ISSN:03000818)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.2, pp.497-501, 1999-04-15 (Released:2010-10-28)
- 参考文献数
- 19
腕時計用に開発された自動発電機構がリードレスペースメーカー電源としてどの程度有効であるか, その可能性について検討した. SEIKO社製の腕時計から, 発電機構とキャパシタ (0.33F) を取り出して適宜固定し, ポリビニル製カプセルに納めた (AGS). AGSを2.0V (0.66J) に満充電して, 市販のCMOS-ICを使って製作したパルス発生回路の電源とした. 本回路は1.47mAのパルス (0.5rnsec, 1Hz) を510Ωの負荷抵抗に供給し続けた. この際のAGS電圧は, 加速度発生装置 (±1.7G, 2Hz) を使った発電により1.6Vに維持した. AGS (0.66J) は, パルス発生回路と麻酔下の雑種成犬の心筋に420mJを供給し, 140bpmのペーシングを60分間維持した. 右心室壁に固定したAGSは, 1心拍につき13μJの発電をした. 以上よりAGSは心臓を刺激する充分なエネルギーの供給を期待できると考えられる.