著者
橋本 昌典 横田 晃 松岡 成明 島 史雄
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.481-485, 1989-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
18

これまで内服および外科的治療が無効であったchorea-ballism様不随意運動重積状態の9歳女児に対し, 経静脈的に3週間, 最大量533mg/kg/日のGABAを投与して不随意運動を完全に消失させることができた.choreaやballismは大脳基底核GABAニューロンの機能低下が原因と考えられているが, GABA自体は血液脳関門 (BBB) を通過しにくいことからこれらの不随意運動には無効であると言われる.本例の場合, どのような機序でBBBを通過したのかは明らかではないが, GABAの大量静脈内投与はGABAニューロンの機能低下に基づく不随意運動に有効である可能性を示唆している.
著者
奥田 真也 松岡 成明 毛利 元彦
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.247-261, 1988
被引用文献数
7

大陸棚海域の開発に必要な水深300mの海中作業技術の確立と安全潜水技術の確立を目的として行われた横須賀の海洋科学技術センターの潜水シミュレーション実験に過去5年間参加した. 我々は二次元脳電図法を用いて, 1)高圧神経症候群(HPNS)に特有な脳波変化があるか, 2)脳波の変化と潜水時のHe-O<SUB>2</SUB>環境下での加圧・減圧速度との関係, 3)脳波の変化と特徴ある神経症状との相関の有無を検討した. 対象として,300m飽和潜水には17名(加圧速度25m/hr), 180mに6名(12m/min), 130mに6名(12m/min), 60mに13名(12m/min)の健康な飽和潜水経験者を採用した. 加圧時の環境制御は, 酸素分圧0.79bar, ヘリウム分圧29.91bar. 特徴ある脳波所見とし, 前頭正中部にθ波, およびdiffuse α波を, ときに痙撃波を認めた. 臨床的には全例にHPNSを認め, 上記脳波出現時に, 笑い発作, 多幸感が特徴的であった. これは高圧下のヘリウム麻酔効果による影響と推察されるが, ダイバーにより個人差がみられた. 従ってダイバーの選択並びに生理学的反応を知るには脳波学的検査は重要なモニターとなりうる.
著者
松岡 成明 久澄 太一 吉水 卓見 福井 仁 松本 一弥
出版者
医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
雑誌
昭和病院雑誌 (ISSN:18801528)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-11, 2004 (Released:2005-05-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

松果体は、メラトニンを産生し、睡眠に関係していると考えられています。しかし、手術による松果体切除が、睡眠障害を生ずるか否かについて今日迄はっきりとした記載はありません。私たちは、松果体嚢腫および松果体細胞腫(pineocytoma)の2例の全摘出例について、その影響を検討したので、松果体腫瘍を全摘出した患者のメラトニン分泌とactigraphと睡眠日誌からみた睡眠・覚醒リズムについて報告します。症例1の術後1ヵ月および症例2の術前・術後のメラトニン分泌量は、いずれも2.5pg/dl以下で、日内変動もみられなかった。症例1の術後におけるactigraphからみた睡眠・覚醒リズムの乱れは基本的にみられなかった。14日間における夜間時の各睡眠パラメーターの平均(標準偏差)についてみると、就床時間が406.3分(75.6)、全睡眠時間が369.2分(75.2)、睡眠効率が90.8%(5.4)、中途覚醒時間が37.1分(22.7)、入眠潜時が7.2分(3.1)および昼寝時間が45.1分(39.1)であった。日々の睡眠パラメーターの変動も比較的小さかった。活動量のコサイナー分析の結果、Acrophaseは15~18時の範囲にあり、14日間の平均では、15:32(1:55)、Amplitudeは106.5(19.2)、Mesorは162.9(42.3)であった。最大エントロピー法による解析の結果、第1周期はほぼ24時間、第2周期は12時間であった。睡眠日誌から求めた睡眠パラメータは、actigraphから判定したものより、良く眠れていたと報告していた。症例1でみたように、症候性松果体嚢腫の全摘出術を受けたにもかかわらず、睡眠・覚醒サイクルは、ほぼ正常なリズムを維持していたものと推測された。しかし、症例2のように、術前のメラトニンの分泌レベルは、症例1の術後と同じレベルで日内変動もみられなかった。先行研究では、術前の高メラトニン濃度が松果体腫瘍の診断基準となると言われているので、今後さらに症例を重ねて検討したい。