著者
前田 巌 松島 裕康 坂地 泰紀 和泉 潔 ディグロー デビッド 加藤 惇雄 北野 道春
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2L4GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

高度な複雑系として知られる金融市場は,影響を与える要素の膨大さ,内部構造の非定常性,マーケットインパクトの存在といった要因により,予測が非常に難しい.これは近年目覚ましい発展を遂げた機械学習・深層学習手法を用いた場合でも同様で,金融市場予測は必ず不確かさを含んでしまい,不確かな予測に基づく投資判断は大きな損失や市場の不安定化の原因となる.本研究では,人工市場シミュレーションと深層強化学習の組み合わせにより,学習データの不足を補うとともにマーケットインパクトを考慮した学習を可能とし,上記の問題の解決を図った.基本的な単一市場のシミュレーション環境において実験を行い,提案手法の有効性が確認された.
著者
平野 正徳 和泉 潔 松島 裕康 坂地 泰紀 島田 尚
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究は,金融市場における高頻度取引(HFT)のマーケットメイク(MM)戦略と呼ばれる注文行動について分析を行うことを目的とした.株式会社日本取引所グループより提供を受けた,東京証券取引所の注文データを使用し,仮想サーバーの名寄せを前処理として行なった.その結果得られた,取引主体別の注文データを,いくつか指標を使うことで,クラスター分析を行い,高頻度マーケットメイク戦略(HFT-MM)を取っている取引主体を抽出し,それらの注文が,直近約定価格から何ティック離れたところに置かれているかについて計算した.その結果,HFT-MMとされる行動主体は,直近約定価格からかなり離れた位置(5-10ティック)のところにも注文を置いていることが明らかになった.この結果は,HFT-MMとされる取引主体が,マーケットメイク戦略だけではなく,他の戦略も採用している可能性を示唆しており,さらに確認すると,価格が急変した際には,不安定化効果を引き起こす可能性をも示唆していることがわかった.
著者
松浦 出 和泉 潔 坂地 泰紀 松島 裕康 島田 尚
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P2J1301, 2019 (Released:2019-06-01)

インデックス投資が市場の価格形成に与える影響を調べるため,証券市場とその参加者,価格決定をモデル化した.そのモデル上でインデックス投資が価格形成にほとんど影響を与えないことをシミュレーション実験により示した.
著者
アダムズ サム S. アレル イタマール バッハ ヨシャ クープ ロバート ファーラン ロッド ゲーツェル ベン ホール ジョシュ ストアズ サムソノヴィッチ アレクセイ ショイツ マティアス シュレジンガー マシュー シャピロ スチュアート ソワ ジョン 篠田 孝祐 市瀬 龍太郎 ジェプカ ラファウ 寺尾 敦 船越 孝太郎 松島 裕康 山川 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.241-257, 2014-05-01 (Released:2020-09-29)

本論文では人間レベルの汎用人工知能(Artificial General Intelligence:以下AGI)の実現に向けたロードマップの概要を述べる.AGI一般に関する議論から始め,実現への現実的な目標および特性と必要条件に関して基本的な定義を行い,AGIが備えるべき能力の起点となる展望(全体図)を示す.具体的には,発達心理学からAGIの主要テーマを導出し,数学的・生理学的・情報処理的観点から実装に必要な知見を得る.AGIの性能評価に適したタスクと環境を同定し,AGIの全体図上のロードマップを構成するマイルストーンとして七つのシナリオを示すことで,さらなるAGI研究や連携の方向性を提示する.
著者
松島 裕康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1110-1114, 2019-10-15

情報処理学会論文誌ジャーナルへ投稿した論文は,編集委員会にて査読され,論文誌ジャーナルへ掲載すべき論文であるか審議される.本稿では,論文投稿から採否判定までのプロセスの紹介を通して,査読で評価されるポイントや,採否判定を受け取った際のアクションについて述べる.
著者
平野 正徳 和泉 潔 松島 裕康 坂地 泰紀 島田 尚
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O1J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究は,金融市場における高頻度取引(HFT)のマーケットメイク(MM)戦略と呼ばれる注文行動について分析を行うことを目的とした.株式会社日本取引所グループより提供を受けた,東京証券取引所の注文データを使用し,仮想サーバーの名寄せを前処理として行なった.その結果得られた,取引主体別の注文データを,いくつか指標を使うことで,クラスター分析を行い,高頻度マーケットメイク戦略(HFT-MM)を取っている取引主体を抽出し,それらの注文が,直近約定価格から何ティック離れたところに置かれているかについて計算した.その結果,HFT-MMとされる行動主体は,直近約定価格からかなり離れた位置(5-10ティック)のところにも注文を置いていることが明らかになった.この結果は,HFT-MMとされる取引主体が,マーケットメイク戦略だけではなく,他の戦略も採用している可能性を示唆しており,さらに確認すると,価格が急変した際には,不安定化効果を引き起こす可能性をも示唆していることがわかった.
著者
濱脇 諒 尾崎 順一 和泉 潔 島田 尚 松島 裕康 坂地 泰紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2O3J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

近年経済のグローバル化によりある金融機関の破綻の影響がその業界や国を超えて国際的なものとなっている。 関連する分野の先行研究は、銀行単体もしくは企業単体でのエージェントシミュレーションを行うものがほとんどである。 そこで、本研究では銀行と企業の相互作用に焦点を当てた多層ネットワークのモデルを提案し、銀行から企業への投資の有無が企業の成長率に与える影響を調べる。 具体的には、投資を受けているかどうかによって成長率の変動幅を変化させ、最終的な企業の規模の分布の変化について議論する。 銀行が持つ貸借対照表は全国銀行協会が公表している全国銀行財務諸表分析に基づいて作成した。 シミュレーションの結果として、投資は企業の成長の平均には影響を与えなかったが、企業間の格差が広がった。 これは投資を受けた企業のうち、投資を活かして成長することができたものと失敗したものに別れてしまったことが原因だと考えられる。
著者
前田 巌 松島 裕康 坂地 泰紀 和泉 潔 ディグロー デビット 富岡 博和 加藤 惇雄 北野 道春
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,社会の様々な場面で機械学習・深層学習手法による予測が活用されている.深層学習手法を用いて学習したモデルは高い精度で予測を行うことができるが,予測信頼性を十分に考慮できておらず,予測の困難な外挿データに対しても高い確信を持って予測を行ってしまう危険がある.本研究では画像識別タスクに対して,通常の深層学習手法および近年提案されている不確かさを考慮した深層学習手法を適用し,外挿データに対するモデルの頑健性を検証した.通常の深層学習手法により学習したモデルはモデル学習用データに存在しない特徴を持つデータに対して高い確信度で予測を行ってしまうが,不確かさを考慮した深層学習手法により学習したモデルはそのようなデータに対し確信度を低く出力し,誤った予測を回避することが可能となる.実験結果より深層学習手法における不確かさ評価の重要性が示唆された.
著者
アダムズ サム S. アレル イタマール バッハ ヨシャ クープ ロバート ファーラン ロッド ゲーツェル ベン ホール ジョシュ ストアズ サムソノヴィッチ アレクセイ ショイツ マティアス シュレジンガー マシュー シャピロ スチュアート ソワ ジョン 篠田 孝祐 市瀬 龍太郎 ジェプカ ラファウ 寺尾 敦 船越 孝太郎 松島 裕康 山川 宏
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能:人工知能学会誌 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.241-257, 2014-05-01

本論文では人間レベルの汎用人工知能(Artificial General Intelligence:以下AGI)の実現に向けたロードマップの概要を述べる.AGI一般に関する議論から始め,実現への現実的な目標および特性と必要条件に関して基本的な定義を行い,AGIが備えるべき能力の起点となる展望(全体図)を示す.具体的には,発達心理学からAGIの主要テーマを導出し,数学的・生理学的・情報処理的観点から実装に必要な知見を得る.AGIの性能評価に適したタスクと環境を同定し,AGIの全体図上のロードマップを構成するマイルストーンとして七つのシナリオを示すことで,さらなるAGI研究や連携の方向性を提示する.