著者
吉田 明 松津 賢一 小島 いずみ 向橋 知江 中山 歩 柳 裕代 松浦 仁 稲葉 将陽 清水 哲
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.126-130, 2012 (Released:2013-02-28)
参考文献数
7

乳頭癌488例の治療成績をStage別に調べ,日本の現状における乳頭癌の初期治療は如何にあるべきかについて検討した。StageⅠ,Ⅱにおける再発例は21例(7%)であり,原病死したものは1例(0.3%)であった。一方StageⅣではⅣcを除いた84例中44例(52.4%)が再発を起こし,原病死したものはStageⅣ全体で 29例(27.6%)に及んでいた。StageⅢはStageⅠ,ⅡとStageⅣの中間的なものであった。再発例の転帰を調べたところStageⅠ,Ⅱでは再発がみられても再手術などによりsalvageが可能であることが多いのに対し,StageⅣでは再発例の多くは生命予後に直接影響を与えるものと考えられた。以上よりStageⅡ以下では初診時より遠隔転移を認めるもの(M1),明らか周囲臓器へ浸潤しているもの(EX2),大きなリンパ節を触れるものなどを除き(準)全摘は必要なく片葉切除などで十分と考えられた。一方StageⅢ,Ⅳでは(準)全摘は必要と考えられたが,特にStageⅣでは遠隔転移が多く,生命予後も不良であることより131Ⅰアブレーションを可能な限り追加すべきと思われた。
著者
西嶋 真理子 柴 珠実 齋藤 希望 増田 裕美 西本 絵美 松浦 仁美
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.40-49, 2018

<p><b>目的:</b>発達障害児の親を対象に前向き子育てプログラムのひとつであるステッピングストーンズ・トリプルP(以下,SSTP)を実施し,その効果と地域での導入について検討する.</p><p><b>方法:</b>地域の保護者会の協力のもと,3~12歳の発達障害児の親27人に対して筆者らがSSTPを実施し,介入前後の親の子育て場面でのふるまい(Parenting Scale;PS),児の行動の難しさ(Strength and Difficulties Questionnaire;SDQ),親の抑うつ・不安・ストレス(Depression, Anxiety, and Stress Scale;DASS),親としてどう感じるか(Parenting Experience Survey;PES)について比較し分析した.</p><p><b>結果:</b>介入前はPSやSDQのすべての下位尺度は臨床範囲あるいは境界範囲であったが,介入後はPSの親の多弁さと過剰反応,SDQの児の難しい行動の総合スコア,感情的症状,行為問題,交友問題,DASSの抑うつ,ストレスが有意に改善した.PESでは,得られた助け,パートナーとのしつけの一致度等が介入後に有意に改善した.7歳以下ではPS,SDQ,DASSのすべての下位尺度が有意に改善した.</p><p><b>考察:</b>地域の発達障害児の親を対象に行ったSSTPは,親の子育て場面でのふるまい,児の問題行動,親として子育てにストレスを感じる等に有意な改善効果が確認できた.特に児の年齢が7歳以下の家庭への改善効果が大きく,地域でSSTPを導入することが発達障害児と親の支援に有効であると考えられた.</p>