著者
植木 琢也 平岡 俊也 大澤 美代子 黒川 理加 塚本 佐保 辻 恵子 矢野 実穂 横島 由紀 萩原 章由 松葉 好子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11585, (Released:2019-09-25)
参考文献数
47

【目的】回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟における脳卒中患者の身体活動量を生活活動度計により定量的に評価し,入院時と退院時における変化や自立歩行の可否による相違を明らかにすること。【方法】当院回リハ病棟に入院した脳卒中患者169 名を対象とした。対象に生活活動度計を連続24 時間装着し,回リハ病棟入院時および退院時における身体活動量(歩行・立位・車椅子駆動・座位・臥位の各時間)を測定した。24 時間,日中,理学療法中,作業療法中の各時間帯別に入院時と退院時の比較,歩行介助群と自立群との比較を行った。【結果】退院時,歩行や立位の時間が増加する一方,臥位の時間は減少した。歩行や立位の時間は介助群で短い傾向にあった。【結論】回リハ病棟入院中の脳卒中患者の身体活動量は入院時と比べ退院時には増加する。一方で歩行自立に至らない患者の立位歩行時間は相対的に短く,身体活動量の確保に向けた方策の検討が必要である。
著者
溝部 朋文 萩原 章由 松葉 好子 前野 豊 山本 澄子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.123-126, 2017-04-01 (Released:2018-04-15)
参考文献数
2
被引用文献数
1

運動麻痺が重度な片麻痺者の歩行練習の過程で,長下肢装具を使用することが多い.短下肢装具へ移行する際,その時期や歩容の悪化がしばしば問題となる.今回,長下肢装具から短下肢装具へ移行した際に歩容が変化した片麻痺者に対し,三次元動作解析を用いて歩行を計測した.長下肢装具使用時,視覚的には歩容は良好であったが,荷重応答期に股関節伸展モーメントが働いていなかった.短下肢装具へ移行後は,荷重応答期ではなく立脚中期に股関節伸展モーメントが働き,円滑な前方への重心移動が難しくなった.歩行機能再建の過程で長下肢装具を使用する際には,歩容だけでなく筋収縮の有無やタイミングを考慮すべきである.
著者
臼田 滋 内山 靖 原田 和宏 松葉 好子 青山 誠 永冨 史子 半田 一登
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】日本理学療法士協会は平成24年度厚生労働省老人保健健康増進等国庫補助金事業として「病期・職種を問わず使用できるリハビリテーション評価指標作成事業」を実施した。本演題では,本事業のデルファイ法を用いた評価指標項目の精選と試作したリハビリテーション評価指標を報告する。【活動報告】病期・職種・疾患の違いに関わらず,患者・利用者の状態像を縦断的に評価するために必要な評価指標項目を精選するために,3回の調査で構成されるデルファイ法を用いた。対象は,臨床経験年数が10~20年の理学療法士120名,作業療法士60名,言語聴覚療法士20名の計200名で,関与する病期と勤務地域に偏りが生じないように配慮した。round1では事前に提示した評価指標120項目に対する必要度(5段階Likert scale)と追加項目を調査した。round2とround3では前回の調査結果を提示した上で,必要度を調査した。それぞれ対象の70%,80%以上が必要と回答した項目を精選した。3回の有効回答率は91.5%,84.5%,81.0%であった。round1にて92項目が追加され,round2で50項目,round3で最終的に22項目が精選された。10分以内に評価でき,結果を多職種で共有できること目指し,最終的に活動・参加の8項目(実行状況と能力),心身機能の7項目の計15項目から構成される評価指標を試作した。各項目について0~4点の5段階評定を採用した。【考察】評価指標項目を科学的な手続きを経て精選し,評価指標を試作することができた。多角的な検証を踏まえ,簡便に患者・利用者の状態像を把握でき,病期や疾患を問わず多職種間で共有しやすい指標となった。今後は,病期別,疾患別の検証や,縦断的な検証が必要である。【結論】デルファイ法を用いて病期・職種を問わず使用できるリハビリテーション評価指標を試作した。