著者
板倉 弘重 高橋 二郎 北村 晃利
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.173-182, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
72
被引用文献数
6 3

アスタキサンチンは,広く天然に存在する赤色のカロテノイドの一種であり,一重項酸素消去および抗脂質過酸化活性などの優れた抗酸化作用を有する.近年さまざまな生理活性が報告されるようになり,健康食品および化粧品素材として普及しつつ,予防医学の領域においても注目されている.本稿では,アスタキサンチンの由来,他のカロテノイドとの比較,化学的特長に触れつつ,抗脂質過酸化活性,抗炎症,血流改善,メタボリックシンドローム改善,眼精疲労改善,ピロリ菌抑制,脂質代謝改善,筋肉疲労改善,美肌効果,男性不妊症改善などの機能性,さらに体内動態および安全性についての細胞,動物試験,および臨床試験などの結果を取り上げ,補完代替医療素材としての可能性を紹介する.
著者
板倉 弘重
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.851, pp.4-6, 2020-02
著者
岩本 珠美 平原 文子 金山 功 板倉 弘重
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-25, 2007

本研究では、キュウリエソを原料として麹菌で発酵させて作成した魚醤がラットの脂質代謝に及ぼす効果を検討した。Fisher-344系雄ラット7週齢、1群6匹ずつ4群を設けた。AIN-93G飼料組成を基本とした飼料を与えた群を対照(Cont)群とし、基本飼料+コレステロールを飼料とした群をChol-Cont群、基本飼料+コレステロール+粉末化した魚醤(FSPF)1%を飼料とした群をChol-F1群、基本飼料+コレステロール+FSPF3%を飼料とした群をChol-F3群とした。これらの飼料でラットを4週間飼育し、血清成分、肝臓中の脂質、トコフェロールについて検討した。その結果、体重増加量は、4群間で有意な差はみられなかった。血清脂質についてChol-Cont群とChol-F1群およびChol-F3群を比較検討したところ、血清総コレステロール(TC)値はChol-F1群、Chol-F3群で有意に高値を示し、魚醤の添加効果は認められなかった。血清トリグリセリド(TG)値はChol-F1群では、Chol-Cont群に比べ、有意の低い値であった。また、血清α-Toc値は、Chol-Cont群よりもChol-F1群、Chol-F3群で高い値を示した。さらに、肝臓中の脂質では、TG値はChol-Cont群、Chol-F1群、Chol-F3群の3群間で有意な差は認められなかった。今回の検討では、粉末化した魚醤の摂取により血清TG値の低下が認められたことから、キュウリエソを有効活用できる可能性のあることが示唆された。